夜空に輝くクリスマスツリー

【2008年12月25日 ESO Organization News

ヨーロッパ南天天文台(ESO)が、クリスマスツリー星団を含む領域NGC 2264の画像を公開した。


(NGC 2264の画像)

2.2m MPI/ESO望遠鏡に搭載されているWFIカメラがとらえたNGC 2264の画像。クリックで拡大(提供:ESO)

NGC 2264は、いっかくじゅう座の方向約2600光年の距離に位置する天体だ。天文学者ウィリアム・ハーシェルは1784年、この領域に美しい星団を発見した。

星団はとても明るく、双眼鏡で簡単に見ることができる。望遠鏡では、上下が逆さまに見えるため、そこに輝く星はちょうどクリスマスツリーに点灯するイルミネーションのように見える。ツリーの一番上を飾っている明るい星の正体は、複数の星からなる連星系で、数百万年前に誕生したばかりの若い星たちである。

そのほか、この星団には興味深い構造が見られる。画像の下方に、暗い三角形の構造があるが、これは「コーン(円すい)星雲」。また、もっとも明るい星の右側の領域で毛皮のように見えているのは、「狐の毛皮星雲」である。

画像の大部分が赤く見えているのは、大量のガス雲が星からの放射で暖められて輝いているため、星が青く見えているのは、星が若く高温なためである。画像の上方では、その青い光がちりによって散乱されている。

この領域は、星の形成を研究する上で理想的な観測対象である。この画像にとらえられているのは、巨大な分子ガス雲のほんの一部であり、分子ガス雲では、次の世代の星を誕生させるプロセスが進んでいる。