平原に見事戻った、火星探査車オポチュニティー

【2008年9月2日 NASA JPL

ビクトリア・クレーター内部の探査を終えたNASAの無人火星探査車「オポチュニティー」が、クレーターの斜面を登り切り、無事クレーターの外に戻ってきた。


(オポチュニティの車輪の跡)

オポチュニティの車輪の跡。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

オポチュニティの運用チームは2007年9月、二度と平地に戻れない危険を覚悟の上で、直径約800mのビクトリア・クレーター内部へと続く斜面の下降に臨んだ。

リスクを最小限に留めるため、下降は約4m進んでは約3m戻るという、スリップしないかどうか確かめながらの走行であった。この慎重な走行のおかげで、このルートを使えばオポチュニティーが再びクレーターの外に戻れることを運用チームは確信したという。

戻ってきたことを記念する画像が公開された。この1枚は、オポチュニティーのナビゲーション・カメラが平地(クレーターの外)に戻った直後に撮影したもの。オポチュニティーが往復でたどったルートにわだちが残っている。

NASAのジェット推進研究所(JPL)で、オポチュニティーとスピリットのプロジェクトマネージャーをつとめるJohn Callas氏は、「無事クレーターに入り、探査を完了し、再びクレーターの外へ戻りましたが、年老いた探査車に取り付けられたタイヤが故障し、クレーター内部に取り残されるのではないかと心配でした」と話す。

クレーター内部にある地層の探査を終え、メリディアーニ平原に戻ったオポチュニティーは、次はロボット・アームを使い、周辺に散らばる握りこぶし大の石を数か月かけて調べる。これらの石には、オポチュニティーから遠く離れたクレーターが形成された際に衝撃で飛び散ったものが含まれているかもしれない。