はくちょう座に新星が出現、西山さんと椛島さんが発見

【2008年4月12日 VSOLJニュース(193)】 4月14日更新

福岡県久留米市の西山浩一さんと椛島冨士夫さんが、はくちょう座に7等級台の新星を発見された。西山さんと椛島さんは系外銀河に多くの新星を発見されてきたが、銀河系内の新星の発見は初めて。今年に入ってからの日本人による銀河系内の新星発見は、3月の金田さんに続いて2個目となった。


VSOLJニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

はくちょう座と言えば夏の大三角の一角を占める星座ですが、やや北にあるために、今の季節でも夜半以降はじゅうぶん観測の対象となります。そのはくちょう座に、3月に引き続き、本年2個目の新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのグループです。彼らは、系外銀河で新星を数多く発見してきましたが、私たちの銀河系での新星発見は初めてになります。

(はくちょう座V2491の画像)

はくちょう座V2491。クリックで拡大(撮影者/星の友達氏、撮影日/4月13日、その他撮影データは天体画像ギャラリーを参照のこと)

新星らしき天体は、4月10.728日(世界時、以下同様)に撮影されたCCD画像上で7.7等の明るさで発見されました。40cm望遠鏡を用いて当日および翌日撮影した画像で測定された位置は、以下のとおりです。

  赤経  19時43分01.96秒
  赤緯 +32度19分13.8 秒 (2000年分点)
  新星周辺の星図

この間に天体は0.6等ほど増光しており、また独立発見を報告した中国のグループからは、8.831日には14等より明るい天体は見えなかったとの指摘もあることから、この天体は増光をはじめてからまだ2〜3日しか経っていない、「新鮮な」天体であることがわかります。

埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんは、増光前には1秒角以内の近い位置に16等前後の星があったことを指摘しており、この天体が増光したのなら、9等級、すなわち4000倍近い増光をしたことになります。増光前の天体は、水素輝線を出している、割に特殊な星であることも指摘されています。今回の増光天体には、「はくちょう座V2491」という変光星符号が振られました。

天体の分光観測が、岡山県井原市にある美星天文台で、同台台長の綾仁一哉(あやにかずや)さんと大阪教育大の松本桂(まつもとかつら)さんによって行われ(11.72日)、爆発天体特有の形をした幅広い水素輝線を示していることから、この天体は爆発後間もない古典新星であることが明らかになっています。変光星名が付いた後に新星であることが判明したので、「2008年はくちょう座第2新星」という呼び方は公式には使われませんが、通称としてはこの呼び名が使われることもあるかもしれません。

もしもう少し明るくなれば、肉眼でも認められる明るさになります。今後の明るさの変化には注意したいところです。


はくちょう座V2491の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

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