天文学会が表彰した輝く新天体発見者たち

【2008年4月4日 日本天文学会】

新天体発見といえばアマチュアの夢。日本天文学会は2007年度の新天体発見を称賛し天体発見賞、天体発見功労賞、そして業績に対して天文功労賞を授与した。授賞式当日は発見にまつわる様々なエピソードが語られた。


(受賞者の方々の画像)

出席された受賞者の方々。上段左から内那さん、市村さん、内藤さん、西山さん、山岡均選考委員長。下段左から西村さん、板垣さん、広瀬さん、櫻井さん、安部さん。クリックで拡大(撮影:大川拓也)

日本天文学会は2007年度の天体発見賞、天体発見功労賞、天文功労賞を以下の方々に決定し表彰した。天体発見賞は新星・超新星・彗星の第一発見者に、天体発見功労賞は独立発見した人に、天文功労賞は研究者でない個人・団体の業績に対して贈られる賞だ。2008年3月26日、東京の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた日本天文学会春季年会総会で授与式が開催された。

毎年たくさんの天体発見賞に輝く板垣公一さんは、2006年に発見した超新星2006jcが爆発前の2004年にも明るかったことを検出していたとして天文功労賞にも輝いた。この超新星は、ダストが取り巻く様子を赤外線天文衛星あかりがとらえるなど最先端の研究対象として注目されている。

安部裕史さんはキヤノンEOS Kiss DigitalにsmcPENTAX 35mmF2.8のマニュアルフォーカスレンズを装着し、30秒のスローシャッターで撮影するというお手軽な捜索スタイルで、画像をステラナビゲータの星図と照合して天の川の中に9.5等の新星を発見された。

内藤博之さんによる超新星の第一発見は関西圏では初めて。国内の望遠鏡が発見した超新星としては最遠の記録を更新した(約5億光年)。内藤さんの勤務する西はりま天文台では、口径2mのなゆた望遠鏡を使って市民と共に超新星探しを行うプログラムが実施されている。

広瀬洋治さんは発見者を代表して檀上で挨拶された。広瀬さんは2007年大晦日の深夜(元日の午前1時3分)の観測画像から超新星を発見。神奈川県茅ヶ崎市のご自宅は市街地にあるが、お正月は普段よりも空が澄んでいたという。

今回、新彗星発見による天体発見賞は1件もなかったが、内那政憲さんは2007年2月に太陽のコロナを監視するSOHO探査機の画像から新彗星を検出。日本人で初めての快挙であり天文功労賞として表彰された。内那さんはさらに、2007年10月末までに少なくとも3件の同様の検出を行っている。

授賞式当日、超新星を発見した土井隆雄さんは国際宇宙ステーションから帰還の途上にいたため出席不可能だった。

日本天文学会創立100年という記念すべき年に受賞された皆様、おめでとうございます。今後もご活躍ください。

2007年度天体発見賞

板垣公一さん
7件:超新星 2007B、超新星 2007C、超新星 2007af、超新星2007cd、超新星 2007gi、超新星 2007gw、超新星 2007kj
中村祐二さん
2件:新星 さそり座V1280、新星 さそり座V1281
土井隆雄さん
1件:超新星 2007aa
多胡昭彦さん
1件:新星 はくちょう座V2467
西村栄男さん
1件:新星 へびつかい座V2615
櫻井幸夫さん
1件:新星 いて座V5558
安部裕史さん
1件:新星 こぎつね座V458
内藤博之さん
1件:超新星 2007ig
市村義美さん
1件:超新星 2007ss
金田宏さん
1件:新星 こぎつね座V459
広瀬洋治さん
1件:超新星 2007uy

2007年度天体発見功労賞

櫻井幸夫さん
1件:新星 さそり座V1280の独立発見
西村栄男さん
1件:新星 さそり座V1281の独立発見
中村祐二さん
1件:新星 へびつかい座V2615の独立発見
多胡昭彦さん
2件:新星 へびつかい座V2615の独立発見、新星 こぎつね座V459の独立発見

2007年度天文功労賞

長期的な業績

浦田武さん
太陽系小天体の発見と軌道計算

短期的な業績

内那政憲さん
日本初のSOHO彗星の検出
西山浩一さん、椛島冨士夫さん
銀河系外の新星を多数検出
板垣公一さん
きわめて特異な星の最期の姿を検出

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