【訃報】元NASA宇宙飛行士 ウォルター・シラー氏

【2007年5月7日 NASA FEATURE

5月2日(米東部標準時)、NASAの宇宙飛行士として唯一マーキュリー、ジェミニ、アポロの3計画で宇宙に飛び立ったウォルター・シラー(Walter Shirra)氏が亡くなられた。享年84歳。


ウォルター・シラー氏の写真

マーキュリー計画の宇宙服を身に着けた当時のウォルター・シラー氏の写真。クリックで拡大(提供:NASA)

シラー氏は1923年生まれ。海軍所属の戦闘機パイロットを経て、1959年にNASAが選抜した最初の宇宙飛行士7人に名を連ねた。

1962年、アメリカ初の有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画で、5機目の宇宙船シグマ7に搭乗して地球を6周した。1965年にはジェミニ6号の船長としてジェミニ7号と約30センチメートルの距離にまで接近し、史上初のランデブーを達成した。さらに1968年、アポロ計画初の有人飛行となったアポロ7号で再び船長を務めた。このミッションでは11日間にわたって地球周回軌道に滞在し、人類の月面着陸に向けた準備が整ったことを証明した。

シラー氏は、1969年にNASAを退職。その後、米国のCBS放送でコメンテーターを務めた。宇宙開発に対する情熱や豊富な知識で、国内外で広く知られた。

NASAのマイケル・グリフィン長官は「人類の有人宇宙飛行史におけるパイオニアをまた一人、失いました」と述べ、ブッシュ米大統領は「彼が行った冒険によって、有人宇宙飛行に対する人々の理解が大きく前進しただけでなく、人類初の月旅行への道が開けた」とコメントするとともに哀悼の意を表した。

また、マーキュリー計画の宇宙飛行士で、シラー氏を親愛なる仲間であり兄弟と慕っていたカーペンター氏は次のように語っている。「宇宙飛行士は、たえず競い合って宇宙を目指しています。そんな中にあって、彼は会う人すべてにいつも笑顔を絶やさない努力の人でした。彼の笑顔は、わたしの心から永久に消えることはありません」

ウォルター・シラー氏のご冥福を心よりお祈りしたい。

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