赤外線天文衛星スピッツァーがとらえたプレアデス星団

【2007年4月13日 Spitzer News Room

NASAの赤外線天文衛星スピッツァーによる美しいプレアデス星団(すばる、M45)の画像が公開された。画像には、羽毛のようなちりに囲まれた星が浮かびあがるように見えている。


(プレアデス星団の赤外線画像)

プレアデス星団の赤外線画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/J. Stauffer (SSC/Caltech))

プレアデス星団は7姉妹(Seven Sisters)とも呼ばれ、ギリシャ神話では、姉妹をオリオンから守るためにゼウスが星座の仲間入りをさせたと言われている。星団の中で、とくに質量が大きく明るい星が、姉妹たちの両親であるアトラスとプレイオネだ。父親のアトラスは画像のもっとも下に、そして7つの姉妹星のうち6つがアトラスの上方に写っている。散りばめられたような青い点は、同じ星団に属する他の星だ。また星団にはわれわれの太陽のような星に加え、質量の小さな星が数千個存在している。

スピッツァーによる観測では、プレアデス星団に新しい低質量の星が発見されている。それは、今までの観測でとらえられなかった褐色矮星だ。褐色矮星は質量が小さいために高温になれない、いわば星のなりそこないだ。スピッツァーの赤外線の目は、このような冷たい低質量の天体を発見することが可能なのである。

現在、夕方の西空にプレアデス星団を見ることができる。そのすぐそばには、ひときわ明るく輝く金星が接近している。双眼鏡があれば、これらの接近している天体を見ることができるだろう。じゅうぶん暗く澄んだ夜空であれば、肉眼でも楽しむことができる(関連リンク参照))。また、4月20日には月がこれに加わり、さらに美しいシーンとなる。

おうし座の方向にあるプレアデス星団は、われわれから400光年離れている。星団が生まれたのは1億年前で、地球では恐竜が闊歩していた時代にあたる。しかし、われわれの太陽が50億歳であることと比べると星団の年齢は格段に若いといえる。

M45(プレアデス星団、すばる)

清少納言が枕草子の中で「星はすばる…」と詠んだことで有名な、おうし座の散開星団。ふつうの視力の人で6〜7個の星が見え、目のよい人なら10個以上観察できるといわれている。双眼鏡ではこれが60〜70個、大口径双眼鏡では、約150個もの恒星の集まりであることがわかる。青白い高温の星の集まりで、数千万年というひじょうに若い星団である。(「最新デジタル宇宙大百科」より)