カッシーニ最新画像:タイタンのクレーターと暗い物質、F環とプロメテウス、他

【2006年9月14日 Cassini Multimedia Images (1)(2)(3)

土星探査機カッシーニは、9月7日にタイタン・フライバイを行った。その際、まだ3つしか発見されていないタイタンのクレーターのうちの1つが撮影された。その他いつもながら圧倒される土星の姿やF環を削りとるように移動するプロメテウスの姿をとらえた画像を紹介しよう。


タイタンのクレーターと暗い物質

(タイタンのクレーターをとらえた画像)

タイタンのクレーター。クリックで拡大(提供:NASA/JPL)

この画像は、9月7日のタイタン・フライバイの際にカッシーニに搭載された電波観測機器によってとらえられたタイタンのクレーターだ。カッシーニによる電波観測で、タイタンには現在までに3つのクレーターが確認されているが、このクレーターの直径はおよそ30キロメートルである。クレーターのデータから、われわれはさまざまな情報を得ることができる。たとえば、クレーターの形からタイタンの一番外側を覆っている外層の構造などがわかる。画像に写っているクレーターの中心は盛り上がっているが、他2つのクレーターに、このような特徴は見られない(参照:2005年2月にとらえられたSinlapクレーターの画像)。また、衝突そのものや外層の厚み、クレーターを造った隕石にも違いがあることがわかってくる。画像中暗い部分は、他に比べてなだらかであるか、または電波吸収性の高い物質で覆われていると考えられている。

画像の中心は北緯10度、西経70度付近に位置し、画像の縦のスケールは150キロメートル、幅は190キロメートルである。


リングを隠す巨大な土星の影

(カッシーニがとらえた土星の画像)

カッシーニがとらえた土星。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

土星のB環とC環が巨大な土星の影に隠されている。土星の縁の部分ではわずかながら、環が土星の上層の大気のために折れ曲がって見えている。また激しく活動する雲の帯が特有のギザギザ模様を見せている土星の表面は、拡大画像では圧倒的な迫力を見せている。

この画像は、波長728ナノメートルの赤外線波長の分光フィルターを使ってとらえられたものだ。土星からカッシーニまでの距離は256000キロメートル。画像スケールは、1ピクセルあたり12キロメートル。


F環とプロメテウス

(カッシーニがとらえたF環とプロメテウスの画像)

カッシーニがとらえたF環とプロメテウス。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

土星のF環とプロメテウスをとらえた画像には、プロメテウスが造った帯がまるでF環に突き刺さるような姿でとらえられている。リリース元では5枚の画像からなる動画も公開されており、F環内側を削り取るように移動するプロメテウスの姿を見ることができる。

画像は、カッシーニに搭載された狭角カメラによって8月11日にとらえられたもの。土星からの距離は、約220万キロメートル。太陽―土星―探査機のなす角度は162度で、画像スケールは1ピクセルあたり13キロメートル。

土星の環

土星のリング(環)は、ドーナツ状の薄い一枚板のように見えるが、実際は数センチメートルから数メートルほどの細かい氷の粒や岩が数え切れないほど集まってできたもので、厚さは数百メートルほど。氷の粒や岩がまばらにつながって線状のリングを形成していて、これが1000本以上集まって円盤状に見えている。土星でよく知られているリングは7本ある。土星本体から近い順番にDリング、C、B、A、F、G、Eと名前がつけられている。(「150のQ&Aで解き明かす 宇宙のなぞ研究室」Q.70 土星の環はどうやってできた? より一部抜粋 [実際の紙面をご覧になれます])