3団体協同で開催された「全国プラネタリウム大会・大阪2005」(7月12〜14日、 大阪市立科学館)

【2005年7月20日 アストロアーツ】

(参加者の集合写真)

全国から300名近いプラネタリウム関係者が集結した。(写真提供:大阪大会実行委員会)

7月12日〜14日の3日間、全国プラネタリウム大会実行委員会と国内の3つのプラネタリウム団体、大阪市立科学館の主催で「全国プラネタリウム大会・大阪2005」が開催され、施設の担当者、行政、企業、個人、ファンや学生のボランティアなど、全国から300名近いプラネタリウム関係者が一同に集った。技術面や運営面など、多岐にわたる内容の研究発表や分科会をはじめとして、公開シンポジウム、展示・物品販売、エクスカーションなどが行われ、3つの団体が協同 して開催した最大規模の大会となった。


(「プラネタリウム解体講座」のようすの写真)

(国内2大メーカーのエアドームの写真)

(上)実践的な分科会「プラネタリウム解体講座」のようす。
(下)会場には国内2大メーカーのエアドームが並んだ。

会場館となった大阪市立科学館は、2004年7月のプラネタリウムリニューアル時の番組であるアメリカ自然史博物館制作の「星空へのパスポート(日本語版)」を特別投影し、新たに導入された先進のシステムを詳しく紹介した。大会にはプラネタリウム関連企業も数多く参加し、国内2大プラネタリウムメーカーである(株)五藤光学研究所とコニカミノルタプラネタリウム(株)は、館のフロアにそれぞれエアドームを設置して機器のデモンストレーションを行い注目を集めた。また、アストロアーツでは、星空の正確なシミュレーション画面を投影する「ステラプロジェクタ」を展示したほか、ドーム内での研究発表と、星ナビの活動に関するポスター発表を行った。


(主催者代表の写真)

結束した主催者代表。左から青木氏(AJPA会長)、高橋氏(大阪市立科学館館長)、若宮氏(大会実行委員長)、北原氏(JPS会長)、菅原氏(NPF会長)。

近年、プラネタリウムは社会へのアピールがますます重要な状況にある。しかしながら国内には、メーカーの枠や歴史的経緯から、現在3つの団体 AJPA(=全日本プラネタリウム連絡協議会)、JPS(=日本プラネタリウム協会)、NPF(=日本プラネタリウム研究会)が存在している。同じ目的を持つ類似の団体が複数あることの弊害がかつてから指摘されおり、組織をひとつにすることが長年の懸案であったが、今回の大会では、3つの団体を1つの新団体に合流しようと話し合いを進めてきた経緯が報告され、参加者からは合流を支持する声が相次いだ。

また、3団体が協同して全国のプラネタリウム施設の実態調査結果をまとめた「プラネタリウム白書2005」が完成し配布された。白書では、地方財政の悪化で厳しい予算削減がなされていることや、ハードウェアのデジタル化が遅れていることなど、近年の厳しい状況が明らかにされたが、全体として観覧者数は減少しておらず、ほぼ横ばいで推移している実状が示された。

ハードウェア面では急速なデジタル化の波、運営面では地方自治法の一部改正による指定管理者制度の導入など、この大阪大会では、日本のプラネタリウムが激動の時代を迎えている現状が浮き彫りになった。こうした現状を乗り越えて発展すべく、3団体が合流を決めて国内を代表する新団体が設立されれば、来年度は名古屋市科学館を会場に、その第一歩となる大会が開催される。