「ディープインパクト」直前のテンペル彗星(9P)

【2005年7月4日 Hubble NewsdeskJPL News Release

ハッブル宇宙望遠鏡と彗星探査機ディープインパクトがテンペル彗星(9P)から吹き出すちりのジェットを捉え、その画像が公開された。


ハッブル宇宙望遠鏡の捉えた、テンペル彗星(9P)から吹き出すちりのジェット

公開された画像は、6月14日に激しい変化を起こしたテンペル彗星(9P)をハッブル宇宙望遠鏡が捉えたもの。

(アウトバースト前後のテンペル彗星の画像)

(左)アウトバースト前のテンペル彗星の画像(右)アウトバーストを起こしたテンペル彗星。クリックで拡大(提供:NAS, ESA, P. Feldman(Johns Hopkins University)and H. Weaver(Johns Hopkins University)/Applied Physics Lab)

公開された画像のうち一枚は、バーストを起こす前の彗星の様子(左)で、もう1枚はその約2時間後(右)彗星の核からの光を反射する明るい点が捉えられている。ハッブルの高解像度の目をもってしてもひじょうに小さくしか捉えることができない核は、まるで星のように見えている。この核の大きさは、幅14キロ、長さ4キロで、じゃがいものような形状をしている。一方、彗星が吹き出したジェットの長さは、ほぼアメリカ大陸の半分の2千2百キロメートルで、太陽の方向を指して伸びている。

一般に彗星の活動はひじょうに活発で、このようなアウトバーストをよく起こすのだが、その原因についてはよくわかっていない。テンペル彗星が太陽に近づいているために、その表面の温度が上昇し、割れ目ができたためだと考えられている。


再び明るさを増したテンペル彗星(9P)を捉えた彗星探査機ディープインパクト

6月14日続いて、テンペル彗星(9P)のまぶしい光が6月22日再び捉えられた。ジェットを吹き出した彗星を捉えたのは、彗星探査機ディープインパクトだ。

通常、活発な活動を見せる彗星ではあるが、時間的な制限から、なかなかその現象の現場に立ち会うことは難しい。しかし、今回はディープインパクトの計画中であるために、さまざまな観測機の目がたえずその姿に向けられており、このような現象を捉える機会に恵まれ、貴重な情報を得られることとなった。

(2度目のアウトバーストが捉えられたテンペル彗星の画像)

2度目のアウトバーストが捉えられたテンペル彗星の画像(提供:: NASA/JPL-Caltech/UMD )

6月14日にハッブル宇宙望遠鏡が捉えた小規模なものに比べ、観測2度目となる22日のアウトバーストは、その6倍も大きいものだ。このアウトバーストによってコマに含まれる水蒸気量は2倍にも達し、ガスや二酸化炭素の量はそれを上回る量だという。

なお、リリース元では、2度目のアウトバーストの様子が動画形式で公開されている。


彗星の核: 彗星の中心部に輝く固体部分を核という。核は氷とダスト(ちり)の粒子からできており、しばしば「汚れた雪だるま」にたとえられる。核の大きさはかなり小さく、1986年のハレー彗星回帰の際に接近した各国の探査機(日本の「さきがけ」「すいせい」も参加)による測定では、7×7×15kmのじゃがいも型の核がとらえられた。(最新デジタル宇宙大百科より)

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