ディープ・インパクト探査機、初めてテンペル彗星の核を捉える

【2005年6月28日 UM NEWSDESK

NASAの彗星探査機ディープ・インパクトが捉えたテンペル彗星(9P/Tempel)の核の画像が公開された。この小さな塊を、周りを囲む大量のちりやガスから区別できたのは、これが初めてだ。

テンペル彗星(9P/Tempel)の画像

(左上)テンペル彗星(9P/Tempel)の画像、(右上)シミュレーションモデルによるテンペル彗星の周りのガス、(左下)左上から右上の画像を差し引いて核を捉えた画像、(右下)中心部分の核の明るさを示した図)。クリックで拡大(提供:UM NEWSDESK リリースページ)

この画像は、5月末に彗星から約3000万キロメートルの距離で彗星探査機ディープ・インパクトが撮影したもの。加工前の画像(図の左上)には彗星を取り巻く巨大なコマ(大量のちりやガスの雲)が写っていたのだが、シミュレーションによりコマだけの画像(図の右上)を作成し差し引くことで、横5キロメートル、縦15キロメートルという小さな核が明るい点として姿を現した(図の左下)のだ。

ディープ・インパクト計画のメンバーは、このような画像から彗星の核の回転の様子を見積もることができ、衝突の狙いをつけやすくなると話している。核が見えたのは予想以上に早かったようだが、今後探査機が近づくにつれて、ますます大きな姿を捉えることができるわけだ。

ディープ・インパクトは、軽自動車程度の大きさのフライバイ機(探査機本体)と洗濯機サイズのインパクター(衝突機)からなり、合わせて4つの観測機器が搭載されている。フライバイ機には、中解像度、高解像度のカメラ1台ずつと赤外線分光器が搭載されている。一方、インパクターには、1台のカメラが搭載されている。これらの機器により、衝突の前後にわたり画像が記録されることになっている。

衝突の24時間前には、フライバイ機からインパクターが発射される。そして7月4日の日本時間15時頃、約370kgのインパクターは、秒速10kmで彗星に衝突する。彗星の表面には大きさ数十〜数百メートルのクレーターが形成され、通常では観測できない、奥深くの新鮮な氷やちり、ガスが放出されると期待されている。なお、この衝突は、彗星の軌道を変化させるほどの影響を及ぼさず、地球への「ディープ・インパクト」は起きないのでご心配なく。

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