ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた銀河崩壊寸前の現場

【2005年3月14日 HubbleSite newscenter Newsdesk

小さな銀河が銀河団の強力な重力に引き付けられ、崩壊する際には、一体何が起こるのだろうか。小さな銀河がまさに崩壊に向かいつつある現場が、NASAのハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられた。

(NGC 1247Aの画像)

矮小不規則銀河NGC 1247A。クリックで拡大(提供:NASA, ESA AND The Hubble Heritage Team (STScI/AURA))

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたのは、ろ座銀河団の重力に捕まった小さく青い銀河NGC 1247Aだ。この銀河は、秒速600kmのスピードで銀河団にまっ逆さまに突っ込んでいるところである。

不規則銀河NGC 1247Aは、われわれから6200万光年離れた、ろ座の方向にある。ろ座銀河団の内部には大量のガスが存在しており、NGC 1247Aの持つガスと衝突して無数の星が生み出される。また、銀河団中で近くに存在する別の銀河の潮汐力によっても、星の形成が大規模な範囲で引き起こされる。銀河が青く見えるのは、このようにして生まれた青い高温の星が数多く存在しているからだ。

NGC 1247Aは銀河団の中を通り過ぎていくうちに、まもなくその銀河としての形を失い、数十億年後には完全に崩壊する運命にある。