今も続く、スマトラ島西方沖地震による地球自由振動

【2005年1月14日 国立天文台 アストロ・トピックス(73)

国立天文台水沢観測所(岩手県水沢市)は、2004年12月26日に起きたスマトラ島西方沖地震によって発生した地球全体の振動が、現在もなお続いているという事実を観測しました。

振動の主な周期は約20分で、地震発生から16日を経過した2005年1月11日現在、顕著に揺れ続いており、スマトラ島西方沖地震がいかに巨大であったかを物語っています。

水沢観測所の佐藤忠弘(さとうただひろ)教授らの研究グループは、超高感度重力計(超伝導現象を活用した超伝導重力計)を岩手県江刺市の地球潮汐観測施設およびオーストラリア・キャンベラ市郊外ストロムロ山、北極スバルバード諸島ニーオルセンに設置して24時間観測を行っています。

今回観測を解析したのは、地球潮汐観測施設とストロムロ山の重力計による、スマトラ島西方沖地震発生後の観測データです。マグニチュード(M)8クラス(例えば、2001年6月23日に発生したペルー南部沖地震; M7.9)の10倍以上の振幅で低周波自由振動が励起(通常よりも活発になっていること)されていることを観測しました。

さらに、スマトラ島西方沖地震では、地球の膨張収縮が、かつて観測されていない長期間にわたって観測されています。現在も地面の上下動に換算すると約0.03mmの大きさで振動し続けていることを確認しました。

これまでのデータの解析から判断して、この振動は、少なくとも、あと1〜2か月間は継続されると思われています。

この観測結果は、地球内部の様子を精密に推定するために重要な資料となります。同様の観測は東京大学海洋研究所松代観測点(長野県)、東京大学宇宙線研究所カミオカンデ観測点(岐阜県)、極地研究所南極昭和基地でも行われており、これらのデータも合わせて解析を行うことで、いまだに謎となっている地球深部の構造について、有力な情報が得られるだろうと期待されています。

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