太陽風による大気侵食が原因か、火星が水を失ったプロセス

【2004年10月5日 ESA Mars Express News

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の火星探査機マーズ・エクスプレスによって、火星がなぜ水を失ったのか、そのプロセスのヒントが得られた。

(マーズエクスプレスの想像図)

マーズエクスプレスの想像図(提供:ESA)

38億年前の火星には大量の水が存在していたのだが、太陽風にさらされ大気が侵食され、多くの水が奪われたと考えられている。この説を確かめるため、マーズ・エクスプレスに搭載されたASPERA-3と呼ばれる機器によって太陽風と大気の上層との相互関係が調べられている。ASPERA-3は、プラズマ分光器と特殊撮像機によってエネルギーを帯びた中性原子を検出し、太陽風や火星の大気や電離層からの粒子の流れについて広範囲な計測を行っている。

ASPERA-3による観測から、太陽風が火星の電離層に入り込んでおり、火星大気の奥深く、高度270kmにまで到達していることが明らかにされた。このことは、火星が大気を失うプロセスを加速した理由ではないかと見られている。

また、マーズ・エクスプレスに搭載された、高解像度ステレオカメラ(HRSC:High Resolution Stereo Camera)が捉えた画像から、水の流れの跡や海の跡と思われる形跡が北半球上で発見されている。