板垣さん、きりん座に超新星を発見

【2004年8月2日 国立天文台 アストロ・トピックス(36) / VSOLJニュース(127)】

(国立天文台 アストロ・トピックス)

山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんが、きりん座のNGC 2403銀河の中に11等級の明るい超新星らしい天体を発見しました。この発見は兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告されました。

この天体は、板垣さんが2004年7月31日18時過ぎ(世界時)、60cm望遠鏡を使って撮った、少なくとも10枚の画像に11.2等級の明るさで写っていました。翌8月1日の板垣さん自身による確認では、11.3等級の明るさでした。この超新星は2004djと命名されました。

超新星らしい天体の位置は以下のとおりです。NGC 2403の中心から、東に160秒角、北10秒角のところにあります。

赤経  07時37分17.02秒
赤緯 +65度35分57.8 秒 (2000.0年分点)
NGC 2403周辺の星図

この天体は、これまでに板垣さんが撮った2002年9月19日や10月11日の限界等級18.5等級の画像には写っていないとのことです。

板垣さんの超新星発見は、2004年3月の「2004aw」以来で、通算10個目の超新星発見となりました。

(VSOLJニュース)

(著者:山岡均さん(九大理))

M81の超新星1993J(最大10.7等)以来の明るさとなる超新星が発見されました。山形県の板垣公一さんが発見されたもので、超新星2004djと命名されています。

超新星は、きりん座の渦巻銀河NGC 2403に出現しました。おおぐま座の鼻先、と考えたほうが導入は容易でしょう。板垣さんの測定による位置は次のとおりです(上と同じなので省略)。NGC 2403の中心からおよそ東に160秒角、北に10秒角にあたります。この銀河は、距離3Mpcほどのところにあるたいへん近傍のもので、小口径の望遠鏡でも簡単に見ることができます。過去の画像では、超新星とほぼ同じ位置に、18等級ほどの光点が見られますが、これはNGC 2403の中にある若い星団です。

これまでに報告されている明るさは、以下のとおりです(時刻は世界時)。

5月7日 捜索時に気付かず(18等以下?) 板垣
7月31.76日 11.2等フィルタなしCCD 板垣
8月1.45日 11.3等:フィルタなしCCD 板垣
8月1.772日 11.2等フィルタなしCCD 板垣
8月1.910日 11.5等眼視 Bouma(オランダ)
8月2.062日 11.5等眼視 Hornoch(チェコ)
8月2.117日 11.7等眼視 Biemans(ベルギー)

若い星団と重なって見えること、発見後1日あまりの間明るさがほぼ変化ないこと(眼視では一般にCCDより暗く見えます)から、この超新星は、大質量星の最期であるII型の超新星、もしくは爆発後かなり日数が経っているものと思われます。周極星なのですが赤経が現在の太陽と近く、夜間には高度が低いため、見逃されてきたのかもしれません。もしこの2か月くらいの間にこの銀河を撮影された方がいらっしゃいましたら、画像のチェックをお願いします。

発見画像は、間もなくD. BishopさんのWeb page(http://www.rochesterastronomy.org/supernova.html)で見られるようになりますが、漸時、以下でも見られます(板垣さん提供)。

今後のスペクトル観測や光度変化の測定が切望されます。眼視でも容易な対象と思われますので、BishopさんのWeb pageにある比較星図等を使用して、等級の測定と報告をしてみてはいかがでしょう。

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