ブラックホール連星の軌道について、初のシミュレーションに成功

【2004年6月4日 Penn State Eberly College of Science News and Events

ペンシルバニア州立大学の研究チームが、画期的な技術の導入でブラックホールの連星が描く軌道をシミュレーションすることに成功した。このような現象の際には強力な重力が引き起こされることが予測されており、単独のブラックホールのシミュレーションでさえひじょうに難しいとされていたものだ。

(二つのブラックホールのシミュレーション画像)

二つのブラックホールが軌道を一周した後のシミュレーション画像(黒い半球がブラックホール)。平面の色の変化は、空間の歪みの度合いを示している(提供:Bruegmann, Tichy, Jansen 2004)

ブラックホールのシミュレーションは、強力な重力やブラックホール内部の特異点などを取り扱うために大きな困難を伴う。また、今回研究チームが挑戦したブラックホール連星のシミュレーションは不安定性が大きく、お互いの周りを一周するよりも短い時間で衝突してしまう。

今回開発された技術では、グリッド(碁盤の目)がブラックホールと共に移動する。この仕組みを使えば動きと歪みが最小限に抑えられ、衝突によってシミュレーションが終了する前に、二つのブラックホールがお互いの周りを運動するようすを再現することが可能となったのだ。このようなグリッドのアイデアは、物理学的には新しいものではないのだが、これを利用して二つのブラックホールについてシミュレーションを行ったことは挑戦的な試みといえるだろう。

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