アンドロメダ大銀河の周りを巡る「透明な銀河」の発見

【2003年9月19日 NOAO Press Release

アンドロメダ大銀河の周辺にある星の運動の解析から、アンドロメダ大銀河を巡る新しい銀河の存在が明らかになった。この銀河はとても広範囲に星々がまばらに分布しているため、まるで透明な銀河のようだということだ。

(アンドロメダVIIIの星の分布を示した画像)

アンドロメダ大銀河周辺。アンドロメダ大銀河の左下に黄色で合成されている星の模様の部分にアンドロメダVIIIの星が分布している(提供:N. Lin / R. Gensler)

アンドロメダ大銀河は地球からおよそ200万光年離れたところにあり、天の川銀河系からもっとも近いところにある渦巻き銀河だ。天の川銀河やアンドロメダ大銀河は、大小マゼラン雲など30ほどの銀河とともに局部銀河団と呼ばれる銀河の集団を構成している。今回見つかった銀河、アンドロメダVIIIは、その新メンバーに加わったということになる。

アンドロメダVIIIはアンドロメダ大銀河の重力の影響を受けて大きく引き伸ばされ広がっており、アンドロメダ大銀河の周りを回る運動に沿って星が分布している。その星々の速度を観測し、アンドロメダ大銀河のものとは違う運動をしていることがわかったので、そこに未発見の銀河があることがわかったのである。全体の明るさではアンドロメダ大銀河の伴銀河の1つであるM32(写真ではアンドロメダ大銀河とアンドロメダVIIIの間にある明るい円)と同じくらいだが、M32の10倍以上も大きく広がっているため、一見すると銀河には見えないというわけだ。

大きな銀河は小さな銀河が集まって形成されると考えられているが、今回の発見は、そのような小さな銀河であるアンドロメダVIIIが大銀河に吸収されつつあるところを見ているのかもしれない。さらに観測を重ねれば、他の小銀河も見つかる可能性がある。小銀河の性質やそこから形成される大銀河の進化のようすなどがだんだんと明らかになっていくことが期待される。

なお、リリース元のサイトでは、アンドロメダVIIIが引き伸ばされるようすをシミュレートした動画が見られる。

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