9月9日、火星が月と大接近

【2003年9月4日 国立天文台天文ニュース(672)

大接近を過ぎたばかりの火星は、大接近のときとさほど変わらない明るさで、午後7時過ぎには東の空で赤く輝いています。

(月と火星の接近のようす)

これからは、だんだん昇ってくる時刻がはやくなりますので、8月末の大接近の時よりも見やすくなります。

9月9日に、火星と月が「大接近」します。火星の見た目の大きさは視直径24.3秒角、明るさはマイナス2.7等級。月は月齢13で、満月の2日前です。

東京の場合、午後7時には、東の空に昇っている月のすぐ左下に火星が寄り添うように輝いています。この時、月の縁(へり)と火星の間隔は約30分角、つまり月の見かけの直径とほぼ同じです。その後、時間が進むと火星と月はさらに接近し、午後8時40分頃には、6分角まで近づきます。これは、月の見かけの直径の約5分の1、火星の見かけの大きさの約15倍しか離れていないということです。

このようすは肉眼で楽しめます。双眼鏡や、小口径の望遠鏡があればさらに楽しめる光景でしょう。火星と月が同じ視野に入るような倍率で見ていると、模様のわかる火星が、クレーターのある巨大な月の南側をかすめて移動して行く様子が見られるでしょう。

この「大接近」は北に行くほど間隔が狭くなります。例えば、札幌では午後8時54分頃に約3.5分角まで近づきます。逆に南へ行くと間は開いてしまいます。

さらに北、シベリア地方まで行くと、月齢13の月が視直径24秒角の火星を隠す現象(火星食)になります。日本では残念ながら火星食の起こる帯域からわずかに外れています。

11日は中秋の名月。すこし早い「火星付お月見」はいかがでしょうか。

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