Ia型超新星の元となる天体が同定された

【2003年8月14日 NOAO Press Release

星の一生の最後を飾る華々しい超新星爆発、その元となった天体が同定された。

(超新星SN2002icの写真)

写真中央やや上の点が超新星SN2002ic。親銀河は暗すぎて見えない(提供:Carnegie Observatories and NOAO / AURA / NSF

Ia型に分類される超新星爆発は、一般的な理論では連星系をなしている白色矮星が爆発して起こる現象だと考えられている。相手の星からガスが白色矮星に降り積もり、臨界点に達して一気に大爆発を起こすのだ。しかし、その相手の星や降り積もったガスの名残りは、今まで観測されていなかった。

研究グループは約9億5,000万光年かなたで起こった超新星爆発SN2002icを分光観測し、その周辺に大量の水素が分布していることを突き止めた。この大量の水素は、相手の星から放出され白色矮星に降り積もっていたものだと考えるのがもっとも妥当だろう。相手の星の質量は、太陽の3倍から7倍ほどである。

Ia型超新星爆発は、宇宙に存在する重元素を作り出すというとても重要な役割を果たす現象である。今回の発見がすべてのIa型超新星にあてはまるわけではないかもしれないが、少なくともこれまで発見されていなかったものが見つかったことで、さらに研究が進むことは間違いないだろう。

なお、超新星の元になった天体として初めて同定されたのは、有名なII型超新星爆発SN1987Aの元となった大質量星Sn-69 202である。その他にも、II型超新星についてはいくつか元となった天体が見つかっている。

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