初めて、渦巻き銀河から巨大な電波ジェットが観測された

【2003年1月23日 HubbleSite - News Center

渦巻き銀河から光速に近い速さで吹き出す巨大な電波ジェットが、ハッブル宇宙望遠鏡やVLA(超大型干渉電波望遠鏡)、ジェミニ南天望遠鏡の観測から発見された。楕円銀河からのものは数多く見つかっているが、渦巻き銀河からのものはこれが初めてだ。

(銀河の中心から吹き出す電波ジェットの画像)

銀河の中心から吹き出す電波ジェット(赤い部分)。左はハッブル宇宙望遠鏡で撮影、右はVLAで撮影した中心部(提供:NASA, W. Keel (University of Alabama), M. Ledlow (Gemini Observatory), F. Owen (NRAO) and AUI / NSF

電波ジェットが観測されたのは、9億光年離れたエリダヌス座の銀河である。電波ジェットが吹き出していることは20年以上も前から知られていたが、それが渦巻き銀河かどうかの確証が得られていなかったのだ。ハッブル宇宙望遠鏡に新しく装着されたACSカメラやジェミニ南天望遠鏡の観測により、この銀河は間違いなく渦巻き銀河であることが確認されたのである。

これまで、巨大電波ジェットは楕円銀河だけから放射されると思われてきた。今回観測されたのが渦巻き銀河であることについて、この銀河がAbell428というゆるい(混み合っていない)銀河団に属していることが関係しているのかもしれない、という説明がされている。今回の発見は、銀河からの巨大電波ジェットの発生メカニズムについて再考を迫りそうである。

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