太陽−木星によく似た惑星系が見つかった

【2002年6月14日 JPL 2002 News Releases

15年にもわたる長期の観測の末、とうとう、我々の太陽系に似た惑星系が発見された。発表によると、我々の太陽系の太陽−木星の距離とほぼ同じ距離を公転する惑星が見つかったということだ。

我々の太陽系の模式図と今回発表された惑星系の模式図

我々の太陽系(上)と、かに座55番星の惑星系(下)(提供:JPL / NASA / University of California, Berkeley)

惑星系が見つかったのは、かに座55番星と呼ばれる恒星である。地球から約41光年離れており、年齢は50億年と見積もられている(つまり、我々の太陽と同じくらいである)。この恒星には、太陽−地球の距離の10分の1ほどのところを14.6日で公転する木星よりやや小さなガス惑星があることが、1996年に発表されていた。研究グループは、カリフォルニア大学リック天文台の口径3m望遠鏡を用いて15年にもおよぶ観測を続け、今回の発見をしたのである。

新しく見つかった惑星は、恒星からの距離が5.5天文単位(1天文単位は太陽と地球の間の平均距離で、およそ1億5000万km)で、太陽−木星の距離 5.2天文単位に近い値である。少しつぶれた楕円軌道を公転しており、公転周期は約13年。この値も、木星の公転周期 11.86年とかなり近い。ただし、質量は木星の3.5倍から5倍もあるようだ。

これまでに発見されてきた系外惑星は、どれも主星(太陽)に近すぎ、軌道も大きくつぶれた離心率の大きなものばかりだった。4天文単位より遠いところに惑星が見つかったことで、他にも似たような惑星系があるのではないかという期待がふくらむ。研究グループたちは、さらに1,200個の星を調べてもっと多くの惑星系を見つけたいと意気込んでいる。

計算によれば、1996年に見つかった惑星と今回の惑星の間に、地球サイズの惑星が安定して存在できる軌道があるようだ。ひょっとすると地球サイズの惑星も存在するのかもしれない。地球サイズの惑星を探す計画が進行中だが、その重要性がますます高まってきた。

なお、今回の発表では、13個の新しい惑星が発見されたこともあわせて報告された。その中には、これまで見つかった中でもっとも質量が小さく(地球の40倍)そして近接した(0.05天文単位、すなわち太陽−地球の20分の1の距離)惑星系も含まれている。これにより、これまでに発見された系外惑星の数は90個を超えた。