小惑星 1998 WT24 が地球に接近
星空の中を高速で駆け抜ける

【2001年12月12日 アストロアーツ】

地球接近小惑星が夜空を駆け抜ける。1998 年 11 月にリンカーン研究所チームが 18 等級で発見した小惑星 1998 WT24が、12 月 16 日に地球へ 0.012 天文単位(約 180 万 km)まで接近して、9 等級まで明るくなる。日々運動 21 度の最高スピードで、春の星座のかに座から秋の星座のペガスス座までを 10 日間ほどで疾走する。最接近の頃には 1 時間に約 1 度(満月 2 つ分)という高速だ。

地球接近に伴って明るさは急変する。12 月 7 日は 13 等級だが、わずか 5 日後の 12 月 12 日には 11 等級まで増光する。10 等級より明るく見られるのは、12 月 14 日から 17 日の 4 日間。12 月 21 日には再び 13 等級まで暗くなる。12 月 15 日 18 時(日本標準時)ころ、ぎょしゃ座の散開星団 M38 に約 26 分角まで接近、12 月 17 日 4 時(日本標準時)ころには、ペルセウス座の散開星団 M34 に約 48 分角まで接近する。数分間の時間を置くと移動がわかるので、星団観望のついでに、地球のごく近くまでやってきた太陽系の仲間を探してみるのもいいだろう。詳しい位置は以下の図を参照してほしい。(なお、星ナビ 2002 年 1 月号の 145 ページで紹介した星図の日時が 1 日ズレていました。ここにお詫びし、正しい図を掲載いたします。)

なお、15 日(土)、16 日(日)の両日(20 時〜21 時)、北海道の名寄市立木原天文台主催でこの小惑星のライブ中継がおこなわれる予定。詳細は名寄市立木原天文台のサイトを参照のこと。

<小惑星 1998 WT24 の位置>

(クリックで拡大表示)

(小惑星 1998 WT24 の動きの図)

<ステラナビゲータ Ver. 5 で軌道を表示させる方法>

ステラナビゲータ Ver. 5 を使って小惑星の軌道を表示させるには「自分で軌道要素を入力する」方法と「設定ファイルをダウンロードする」方法がある。

<軌道要素を入力する方法>

小惑星 1998 WT24 の軌道要素
(計算:村岡健治氏)
元期(Epoch:TT)2001 年 10 月 18.0 日
軌道長半径(a)0.7180019 天文単位
離心率(e)0.4184503
近日点引数(ω)167.37390 度
昇交点黄経(Ω)82.09997 度
軌道傾斜角(i)7.38270 度
平均近点角(M)115.95085 度
標準光度(H)18.5
光度係数(K)15.0
周期(P)0.61 年
  1. ステラナビゲータ Ver. 5 を起動
  2. メニューバーから「天体」→「小惑星」を選択
  3. ポップアップした「小惑星」ダイアログの中の「新規」ボタンを押し、軌道要素を入力(入力済みのダイアログボックスの図
  4. 各要素を入力後「OK」ボタンを押す
  5. 「小惑星」ダイアログ内の「非表示小惑星」の一番最後に追加された「小惑星 1998 WT24」(この名称は上で入力したもの)を選択し、「↑」ボタンを押して「表示小惑星」に「小惑星 1998 WT24」を移動
  6. 「チェック項目」の中の「名称」にチェックを入れ、「OK」ボタンを押す

<設定ファイルをダウンロードする方法>

  1. ステラナビゲータで軌道を表示させるための追加設定ファイルをダウンロード(ファイルは lzh 形式で圧縮されています。解凍ツールで 1998wt24.adf というファイルを取り出してください。解凍ツールをお持ちでない方は、こちらの自己解凍形式の追加設定ファイルをダウンロード、実行してください)
  2. ステラナビゲータ Ver. 5 を起動
  3. メニューバーから「天体」→「その他の天体」を選択
  4. 「データを追加」ボタンを押し、先にダウンロード、解凍したファイル 1998wt24.adf を開く。ファイルの場所は先ほど解凍時に選んだ場所。追加天体名は例えば「小惑星 1998 WT24」のようにしておく
  5. 設定ダイアログの一番上に追加された「小惑星 1998 WT24」(この名称は上で入力したもの)の左のチェックボックスをチェックし、「OK」を押す

以上どちらかの手順で小惑星 1998 WT24 が登録され、星図上に表示可能になる。時刻、方角などを適宜設定して小惑星の位置を確かめていただきたい。

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