すばる望遠鏡、遠方の超新星を7個発見
【2001年7月13日 すばる望遠鏡ニュース (2001.07.13)】
日本が世界に誇る口径8.2メートル「すばる望遠鏡」により、遠方に存在する超新星が7個発見された (IAUC7649, 2001.06.21)。同クラスの望遠鏡としては最大級の広視野を実現する「すばる主焦点カメラ Suprime-Cam」を持つすばる望遠鏡の実力を示す成果といえるだろう。
超新星爆発は、大質量星が寿命を終える際の大爆発で、その明るさは太陽の10億倍以上にもなる。超新星のうちIa型と呼ばれるタイプは、超新星の中で最も明るいだけでなく、最大光度時の絶対光度がほとんど均一という重要な特徴を持つため、見かけの明るさから光源までの距離をかなり正確に推定することができ、宇宙の構造や進化を研究する上で、距離を知る重要な手がかりである。
しかし、遠方の超新星を多数発見することは容易ではない。超新星が明るく輝くのは出現からわずか一か月程度の間だけで、しかもごく稀――例えば、私たちの銀河系の場合は数百年に1〜2個程度――にしか出現しない。遠方の超新星を発見するためには、対象が暗いだけに大型望遠鏡が必須であるし、しかもひじょうに多数の銀河を観測する必要がある。
すばる望遠鏡は、口径が8.2メートルと最大クラスである上、Suprime-Cam での観測では一回の撮像で満月と同程度という広視野をカバーできるため、この目的にはとても適した観測システムといえる。
今回の観測では、数十万の銀河を含む同じ領域を1か月おいて撮影し、その差をとることにより、23個の超新星候補天体が発見された。数日後にすばる望遠鏡の微光天体分光撮像装置 FOCAS によりそのうち8個のスペクトルが取得され、うち7個が超新星であることが確認された。
今回発見された7個の超新星のうち、6個がIa型であった。また、赤方偏移が0.9より大きなものが3個含まれていた。赤方偏移が0.9より大きな超新星は、今回発見されたものを含めてわずか12個が報告されているだけである。そして、今回発見されたもののうち最遠のものは、赤方偏移1.0のもので、これは宇宙年齢が135億歳であると仮定した場合、約80億光年の距離に相当する。
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