ミール観測報告会、盛会のうちに終了

【2001年5月17日 アストロアーツ】

人工衛星の光学観測の歴史について講演する冨田弘一郎先生

人工衛星の光学観測の歴史について講演する冨田弘一郎先生

去る3月23日にロシアの宇宙ステーション「ミール」が指令落下により廃棄されたのはまだ記憶に新しいことと思うが、その落下劇の締めくくりとして5月15日、東京・調布の航空宇宙技術研究所・本所にて「第2回 低軌道衛星研究会」こと「ミール観測報告会」が開催された。

前国立天文台の冨田弘一郎先生による人工衛星の光学観測の歴史に関する講演からはじまった研究会では、銀河の森天文台、富山市天文台、航空宇宙技術研究所、NHKといった、落下前のミールの地上観測で活躍したさまざまなチームによるプレゼンテーションが行なわれた。

それらのプレゼンテーションでは、観測方法の詳細な説明や苦労話とともに、撮影されたミールの画像が披露され、大いに盛り上がった。それとともに反省点や今後の課題・目標なども述べられ、大変興味深い内容であった。

多数の参加者を迎えた会場のようす

それらによると、人工衛星を観測する上での最大の難関は、やはり天候であったという。そこで航空宇宙技術研究所のチームからは、確実な観測のため、将来的には航空機からの人工衛星観測を実現したいという構想も発表された。

また、今回のミールの観測では、3メートル程度の解像度が実現できており、大気の状態がより良ければ、2メートル程度の解像度が実現できるはずで、船外活動 (EVA) 中の宇宙飛行士の姿を検出することも可能であることが明らかになったという。

そして今後EVAが行なわれる際には、各チームともこぞってEVA中の宇宙飛行士の検出を目指すとのこと。航空宇宙技術研究所とNHKの場合、システムが過般式であるため、大気が安定した高地での観測もぜひやってみたいと意欲を示している。今後も面白い映像が期待できそうだ。

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