NASAの新型高層気球ULDB、2度目のテスト飛行は一応の成功

【2001年3月13日】

「超長期滞空気球 (Ultra-Long Duration Balloon; ULDB)」と呼ばれるNASAの新型高層気球が3月9日、2度目のテスト飛行にのぞんだ。

アリススプリングスから現地時間3月9日朝に離床したULDBは、ほぼ順調に上昇し、目標高度である海抜112,000フィート (約37キロメートル) に達した。

しかし、翌10日朝の日出後、圧力が日中の正常値にまで回復しなかったため、飛行は中断され、ULDBはオーストラリア西海岸付近に着陸した。飛行時間は24時間42分。着陸による搭載機器ならびに気球への損傷は無い。

ULDBは2月24日に初のテスト飛行にのぞんだが、ガス漏れが発生したため、目標高度まで上昇できないまま飛行が中断された。

今回の2度目のテスト飛行は、中断されたとはいえ、目標高度まで無事上昇するなど最低限の基準は満たしており、一応は成功といえる。なお、今回のテスト飛行は初飛行に用いられたものとは別の予備機による。

ULDBは、気嚢 (きのう=空気室) を完全に密封してガス漏れを無くすことによりひじょうに長い滞空時間を実現している。設計上は1600キログラムまでの観測機器を積載し、地球大気の影響を99%カットできる地上高度35キロメートルの超高空を、最大100日間にわたって飛行する能力がある。単一気嚢・密閉式の気球としては過去最大。

2001年12月には、初の科学ミッションであるTIGER (Trans-Iron Galactic Element Recorder=鉄より重い元素の組成測定装置) ミッションにのぞむ予定だ。

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