ミール、ついに廃棄確定か?

【2000年10月27日 FLORIDA TODAY Space Online / AP (2000.10.23)

ロシアの報道機関によると、ロシアのMinister Ilya Klebanov副首相は10月23日、来年2月末に宇宙ステーション「ミール」を海上投棄する計画が進んでいると語った。Klebanov副首相は、ロシア政府の宇宙政策の責任者である。さらにKlebanov副首相のスポークスウーマンであるOksana Onishchenko氏は、政府による正式な決定は後になされることになるが、ミールの廃棄は確実だと付け加えた。

ソビエト連邦の時代から飛行を続けるミールは、ソ連そしてロシアの宇宙開発の栄光の象徴であるが、すでに築14年を迎えて老朽化が進んでおり、またロシアの資金難からミールの飛行を維持するための費用の確保が困難なことから、早ければ2000年前半にも廃棄されるといわれていたが、1999年末に設立された民間の国際ベンチャー企業「ミールコープ社」がミールの製造・運行元であるエネルギア社とミールのリース契約を結び、ミールの維持のための資金を提供したことから飛行が継続されることになった。

ミールコープ社は、一般市民のミール旅行などにより長期的なミールの維持のための資金を捻出することを目指していた。そしてアメリカの実業家デニス・ティトー氏、映画『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督の2名が宇宙旅行者としてミールを訪れることになり、またアメリカのテレビ局がミール旅行を賞品としたテレビ番組を企画するなどの顧客を得たが、これらにより得られる資金はミール維持のための資金のうち、わずかにしかならない。

ミールコープ社はミールの飛行継続をあきらめておらず、Jeffrey Manber社長は「2001年には我々は1億ドル以上の資金を得られると見積もっている。」と強気だ。ミールコープ社は最近、来年早々にも株式公開を行ない、これにより1億1700万ドルの資金を調達できる見積もりであるという発表を行なっている。

建造・運行元のエネルギア社でも、ミールの状態は良好であり飛行はまだまだ継続できるとしており、ミールの早期廃棄は望んでいない。

だが、ロシア政府の宇宙関係者は、ミールコープ社の資金獲得能力に関しては懐疑的である。

またロシア政府はNASAから、ミールを早期に廃棄して国際宇宙ステーション(ISS)計画に専念するよう強い圧力を受け続けてきた。