2000年の「しし座流星群」

【2000年10月26日 国立天文台ニュース(389)

1998年以来かなり活発な出現を見せていた「しし座流星群」は、昨1999年にヨーロッパで1時間当たり3500個という大出現を見せました。 それでは、日本における今年の出現状況はどうでしょうか、これは以下に要約されます。

  1. 今年の「しし座流星群」がまったく見えないことはありません。 しかし、出現のピークでもせいぜい1時間あたり20個程度でしょう。
  2. 最も出現が多いと思われる11月18日を中心として、17日から19日までは出現の可能性があります。時刻はいずれの日も0時頃から夜明けまでです。
  3. 下弦前後の月が放射点近くにありますから、かなり邪魔で、暗い流星は見えなくなってしまうでしょう。

流星群の出現予測はたいへん難しく、見込みがまったく外れる可能性もあり、上記のものはごく常識的な推定にすぎません。 予測は人によってまちまちです。 流星群の母彗星であるテンペル・タットル彗星の軌道にもっとも地球が近付く時刻は17日の17時頃(日本時)で、このときに1時間当たり1000個ぐらい出現という予測もあります。 また、昨年の「しし座流星群」のピーク時刻をぴたりと当てて有名になったイギリスのアッシャー(Asher,D)は、ピーク時刻は18日12時44分と18日16時51分(いずれも日本時)の二つがあり、出現数は1時間あたり数10個であろうとの予測をしています。 さらにベネズエラのフェリン(Ferrin V;I.R.)は17日の18時24分(日本時)をピークに、北、中央アメリカで1時間当たり3500個以上の出現があろうという予測をしています。 しかし、これらのピークは日本ではすべて昼間の時間帯で、放射点は地平線下にありますから、仮にこのときにかなりの出現があったとしても、日本で見ることはできません。 こうしたところから、今年の「しし座流星群」はあまり大きな見込みがないといわれるのです。

流れ星をご覧になるなら、あまり大きな期待を持たないことです。 そうすれば、見えたときの喜びは一層大きくなります。 なお、アッシャーの予測では、2001年には日本を含む東アジアで1時間あたり1万5000個の流星雨が出現する可能性があるということです。 もちろん100パーセント確実なものではありませんが、来年は月の妨害もありませんから、今年よりも大きな期待の下に「しし座流星群」を待つことができるでしょう。

参照 Rao,J., Sky & Telescope 99,No.6, p.30-37(2000).

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