銀河系内のマイクロクエーサーが発見された

【2000年6月30日 space.com (2000/6/29)

スペイン・ドイツ合同の研究チームが、我々の銀河系内に位置する「マイクロクエーサー」を発見した。「クエーサー」は主に遠方銀河の中心に発見される非常に明るい天体で、電波からX線まで広い波長域で輝いているのが特徴。「マイクロクエーサー」はその小型版。研究チームでは、「マイクロクエーサー」は以前考えられていたよりかはありふれたものではないかと推測している。

今回発見された「マイクロクエーサー」は長さ26億kmのジェットで、電波・可視光・X線・ガンマ線のいずれでも観測できる。研究チームは、この「マイクロクエーサー」は、恒星を同伴した小型ブラックホールまたは中性子星であり、それが同伴する恒星から物質を吸収する際に加速された物質がこのような放射を放っていると考えている。

ブラックホールには通常、強力なX線放射が見られるが、今回新たに発見された「マイクロクエーサー」はX線では控えめな輝きしか放っていない。X線以外でも広い波長域で輝いていることがわかり、ようやく「マイクロクエーサー」であることがわかった。研究チームの一員であるR.P. Fender氏(アムステルダム大学)は、『サイエンス』誌の6月30日号で発表された研究報告の中で、今回の発見は、「マイクロクエーサー」は多数潜在するが、これまで見落とされてきていたということを示唆していると注釈している。

今回発見された「マイクロクエーサー」は、我々の銀河系内にあり、地球からは9,100光年ほどの距離にあるLS5039と呼ばれる恒星としても知られる。今回発見されたものを除くと、これまでに発見された「マイクロクエーサー」はわずか10個であり、うち2つが地球に近い位置にある。

観測には、ニューメキシコ州にある、27基のアンテナから成る超大型干渉電波望遠鏡VLAなどが用いられた。