すばる望遠鏡・主焦点カメラによる渦巻銀河M63

【2000年6月26日 すばる望遠鏡 2000/6/22

ハワイ島マウナケア山頂のすばる望遠鏡(国立天文台・ハワイ観測所)の主焦点カメラ(Suprime-Cam)によりとらえられた渦巻き銀河M63(NGC5055)の画像が公開された。

すばる望遠鏡・主焦点カメラにより撮影された渦巻き銀河M63(NGC5055)

画像は、6月10日、すばる望遠鏡・主焦点カメラにより撮影された渦巻き銀河M63(NGC5055)。M63は地球から約2400光年の距離にあり、星形成が盛んに行なわれている銀河。その形から「ひまわり銀河」という愛称で呼ばれる。この画像は主焦点カメラにより得られた画像の一部を切り出したもので、渦の構造や散在する赤いHII領域(高温の星に照らされ電離した水素の光)がよくわかる。画像上が北、視野角は縦5.0分角x横6.6分角(1分角=1/60度)。

この画像での星像のサイズ(星像の明るさがピーク値の半分になる部分の直径)は0.5秒角(1秒角=1/3600度)だが、この少し前の6月3日、主焦点カメラの焦点位置合わせの作業において、なんと0.3秒角という星像サイズが達成された。すばる望遠鏡では、1999年6月の近赤外線での観測において、0.2秒角という星像サイズ(地上望遠鏡においては世界最高)が達成された。可視光では大気のゆらぎの影響が近赤外線に比べて大いため、星像サイズは大きくなるのが普通だが、今回の主焦点カメラによる、可視光での0.3秒角という星像サイズは、近赤外線での星像サイズに匹敵するものだ。

すばる望遠鏡では今年3月末、主鏡固定点が剥離するというトラブルがあったが、今回の観測により、主鏡固定点の改修後におけるすばる望遠鏡の性能は、従来と変わらないことが確認された。

より高解像度の画像やより詳しい情報は、上記ニュースリソースのリンク先を参照されたい。

画像提供: 国立天文台