月面上で発光現象、月は死の天体ではない?

【2000年6月15日 BBC News(2000/6/13)

1992年、パリ天文台所属のAudouin Dollfus教授がムードン1m反射望遠鏡を用いて月面を観測中に、月面上での発光現象を認めた。教授は最近になってこれに関する分析をまとめ上げ、公表した。

1992年12月30日、Dollfus教授はラングレヌス・クレーターと呼ばれる大きなクレーターの内部に、雲状の発光現象を認めた。前日の観測ではこの発光は確かに存在しなかった。教授はこれが見えなくなるまでの数日間、観測を続けた。

教授が望遠鏡を覗きにくるたび、この発光の形状は変わっていた。教授はこの発光現象を、月内部から噴出したガスが月面のチリを巻き上げ、巻き上げられたチリが太陽光を反射して光って見えているのだと考えた。

そして、Dolfuss教授はラングレヌス・クレーターの詳細観測の結果、そこに一群の大きな割れ目があることを発見した。ガスはそこから噴出したのだと考えられる。

月は全く活動していない死の天体であるというのが通説だが、いわゆる「一時的月面現象(Transient Lunar Phenomenon; TLP)」が昔から報告されてはきた。だが、いずれも十分な証拠を欠いていた。今回の報告により、その存在が初めて明確にされた。

moon
アポロ計画で撮影されたラングレヌス・クレーター