小惑星ヒスパニアによる恒星の掩蔽の改良予報

【2000年4月4日 佐藤 勲 氏 ONM No.517】

USNOでの観測を使った軌道改良によると、4月9日(日)に起こると予報されていた小惑星(804)Hispania(13.8等)によるTYC243000280(11.32等)の掩蔽は、22h27mごろ、日本中部を通る可能性が高いことがわかりました。 名目上の掩蔽帯は、中部、関東方面を通っており、北海道から九州までが可能性圏内にあります。

小惑星の推定直径は157kmで、掩蔽が起これば、最長7秒間にわたって2.6等の減光が起こります。 恒星の位置は、赤経06h28m14.9s, 赤緯+35゚26'04"にあります。 日曜日の夜に起こる現象で、恒星が11等と暗めなので、大口径またはI.I.を使って観測しましょう。 この現象は、追加された予報で、恒星はミレニアム星図には載っていません。

さて、観測方法ですが、眼視観測の場合は、電話時報を受信し、時報と現象が起こった時の声を録音して、後で再生して潜入と出現の時刻を0.1秒単位で求めます。 現象を見てから声が出るまでの反応時間は、適当に見積もって補正します。 眼視観測は信頼性が低いので、近くの人とペアを組んで2人以上で観測すると、信頼性が向上します。

ビデオ観測の場合は、できればI.I.や高感度の白黒ビデオを使用し、時報を同時録音します。 周囲の星が映るような倍率で観測すると、雲の通過による減光を区別することができます。

掩蔽帯図
4月9日
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この情報は、お近くの観測者にも伝え、なるべく多くの観測が得られるよう御協力下さい。 観測報告は、現象が起こらなくても、曇っても、観測地の詳しい経緯度や高度、望遠鏡、観測方法、観測状況などを添えて、佐藤勲氏(satoois@cc.nao.ac.jp)まで是非御報告下さい。