わし座新星1999の発見 (Nova Aql 1999)

【1999年7月15日 VSOLJニュース(020)】

近接連星系中の白色矮星に降り積もったガスが爆発的に核融合反応を起こし、星の表面を吹き飛ばす現象を「新星」または爆発現象を指して「新星爆発」と呼びます。 なお、新星は新しい星の誕生ではなく、近接連星の進化の後期に起きる現象です。 先日のVSOLJニュース(17)でほ座の3等級の新星の発見をお伝えしましたが(この新星はその後V382 Velと命名されました。 最大光度は2.5等に達し、7月14日現在7.5等程度まで暗くなっています)、今年は新星の当たり年らしく(?)、銀河系内の新星として本年3番目(反復新星のU Sco爆発を数えると4番目)の新星が発見されました。 この数はすでに最近の年間発見平均数を超えています。

発見は、岡山県の多胡昭彦さんにより55mmカメラで1999年 7月13日にわし座を撮影したフィルムからなされました。 7月14日、久万高原天文台の中村氏によるCCD撮像により存在が確認され、美星天文台の綾仁・川端氏による分光観測で新星に特有の膨張運動を示す輝線が確認されました。 分光観測による膨張速度は3400km/sと大きく、この新星が速い新星(早く減光する新星)であることを示唆します。

精測位置は

19h07m36.90s  +12゚31'26.2"  (A. Nakamura)
19 07 36.91   +12 31 26.7   (N. James)

が報告されています。USNOカタログでは、確実な爆発前の星は記録されていない模様です。

NovaAql1999
KenIchi Kadota, Ageo survey team
July 15, 1999 23:25:40 JST (60 sec)
Ageo City, Saitama Pref., Japan
0.16-m f/3.3 reflector + CCD (MUTOH CV-16II)

IAUC, VSNETにこれまでに報告された光度観測は以下の通りです。発見から1日を経過して、すでにかなり急速に減光していることを示しています。

世界時
7月 13.558日  88p   (A. Tago, 発見)
14.892   9.94V  (J. F. Andujar)
14.923    101   (T. Kinnunen)
14.926   9.29C  (D. Buczynski)
14.948    100   (T. Kinnunen)
14.964     97   (R. Pickard)
14.973    107   (R. J. Bouma)

VSNETに以下のページを用意しています。世界中から報告される光度変化の様子をJava言語を用いてリアルタイムにグラフで見ることができます。

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/Novae/naql99.html

Aql1999わし座新星1999の発見位置