長波の標準電波、運用開始

【1999年6月10日 国立天文台天文ニュース(266)】

時の記念日の6月10日、通信総合研究所は、福島県都路村(みやこじむら)と川内村(かわうちむら)の境界にある大鷹鳥谷山(おおたかどややま)に設置した長波帯標準電波施設から、長波による標準電波の発射を開始しました。 搬送波40kHz、変調波1Hz で、出力は50kWです。 これは日本全域を十分にカバーする出力です。

標準電波は、これまで主として短波で供給されていました。 茨城県三和町から5、8、10MHzで発信されているJJYがそれです。 正確な時刻情報として天文観測などに利用された方もあったでしょう。 しかし、外国の標準電波との混信、伝搬上の問題など、各種の問題点がしだいに大きくなってきました。 これを解決するため、通信総合研究所は、周波数精度が高く、周波数、時刻情報の利用が容易な長波への移行を企図し、三和町から40kHzの試験電波JG2ASを発射して、テストをおこなってきました。 その結果、周波数、時刻を供給するのに十分の性能があることが確認され、今回、長波の標準電波が正式に発射されることになったのです。 これにともなって、三和町からの発射は6月中に中止されます。 また、60年続いた短波のJJYも、2001年3月31日限りで廃止されることになっています。

これまで、JJYを利用されてきた方は、この廃止によって不自由を感じられるかもしれません。 しかし、廃止までにはまだ2年近くあります。 そして、今回発射されるようになった長波を受信するための各種の装置が市販されるようになります。 中には腕時計もあるという話まで聞いています。 それまでに対応は十分に可能でしょう。

参照  通信総合研究所プレスリリース(June 6,1999).

■関連リンク:
「高精度の周波数・時刻情報を提供する長波帯標準電波施設を時の記念日より運用開始」(通信総合研究所 平成11年5月18日)