編集後記


本誌各号の編集後記を掲載。

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■2004年9月

流星を確実に数えるということ

 「はいっ!」(↑流星が出た合図)
 ラムカA「群、++、0等、痕あり!」
 記録係「B、C、D、Eは?」
 ラムカB「見た!」
 ラムカC「見た!」
 ラムカD「見た!」
 記録係「おい、ラムカEは?」
 ラムカE「zzz…」

……なーんて感じで、わいわい楽しくやった高校時代の夏の合宿、ペルセ群観測を思い出す。当時私たち地学部は、天頂に向けたラムカ(空を区切るための枠)を5台並べ、さらに休憩時間が欠測とならないよう5連ラムカをもう1セット、計10台ものラムカを使って空の同じ領域を同時観測した。ラムカの中で発光した2・5等以上の明るい流星を多人数で確実にカウントすることで、眼視観測の宿命ともいえる「見落とし」を少なくするよう工夫したのだ。これが地学部のOBや先輩諸氏から受け継いだ伝統的観測法「多重計数天頂ラムカ法」である。

 今月のペルセ群特集の中でも触れられているが、人間は眠くなったり疲れたり体調がすぐれなかったりするために集中力は一定ではなく、個人差もある。人間とはそういうものだ、と正しく仮定した上で、「真の流星数」と「観測された流星数」との差について、眼視観測者の間ではずいぶんと考察が重ねられてきた。そして多重計数天頂ラムカ法は、来るべき21世紀の流星ビデオ観測時代を見据えて、眼視とビデオの観測結果を比較できるようにするための、私たちなりのひとつの結論だったと記憶している。

 そして今、当時の未来予想が現実となった。高感度CCDを使ったビデオ撮影が定番になり、UFOキャプチャが流星を自動的に検出してくれるようになったのだ。ある条件を満たす流星を確実にカウントできるようになったわけで、長年にわたり議論されてきた見落とし率の問題は、これでほぼ解決されたのである。個人的には、感慨深い。

 昨今の高校生の活躍は流星観測にとどまらない。先日おじゃました高校生セミナーでは、系外惑星の観測について報告し合っていた。機材のみならず、部活も進化しつつあるようだ。

(編集長・大川)

5連ラムカ

5連ラムカはこんな感じ。
傍から見ると、かなりアヤしい集団かも!?

 



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