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環のある星 土星(2019年)

2019年の土星は7月〜10月ごろに観察シーズンを迎えます。やや高度が低いものの0等級と明るく、西に並んでいる木星と共に街中でも簡単に見つけられます。空が暗ければ、土星と木星の間に天の川も見えるでしょう。

土星を天体望遠鏡で観察すると環が見えます。衛星タイタンも見えるかもしれません。夏から秋にかけて、土星と木星をじっくりと観察してみましょう。

土星を見つけよう

明るい黄白色の星

土星の明るさは約0等級で、街中でも肉眼で簡単に見つけられます。「南の空のやや低いところに見える、クリーム色の明るい星」と覚えておけばわかりやすいでしょう。今年は同じ時期に木星も見ごろを迎えています。木星は土星より明るく、土星の西(南を正面として右側)にあります。空が暗いところでは土星と木星の間に天の川も見えるでしょう。

2019年5月中旬 0時の星図

2019年5月中旬 0時の空(東京)。画像クリックで表示拡大(ステラナビゲータで星図作成、以下同)。

土星に関する諸現象

2019年5月から12月ごろまでに起こる、土星と月との接近などは、以下のとおりです。このうち月との接近は、やや間隔は大きくなりますが前後の日にも見ることができます。

日付 現象備考
5月22日
〜23日
月(月齢18)と接近
›› 解説
深夜から明け方
6月19日 月(月齢15)と並ぶ未明から明け方
6月19日
〜20日
月(月齢16)と並ぶ宵から未明
7月10日 衝(しょう)太陽の正反対に来る
(深夜に南に見える)
7月16日
〜17日
月(月齢14)と接近夕方から明け方
8月上旬
〜10月下旬
いて座の
ヌンキと接近
最接近9月21日ごろ
8月12日
〜13日
月(月齢11)と大接近夕方から未明
9月8日 月(月齢9)と大接近夕方から深夜
9月18日 留(りゅう)この日を境に、天球上を西→東に動く(順行する)ようになる
10月 5日 月(月齢7)と接近夕方から宵
10月 6日 月(月齢8)と並ぶ夕方から宵
10月10日 東矩(とうく)太陽から90度東に離れる
(日没のころ南に見える)
黄道座標系では8日
11月 2日 月(月齢5)と大接近夕方から宵
11月30日 細い月(月齢4)と並ぶ夕方から宵
12月上旬
〜中旬
金星と大接近最接近11日ごろ

星図(5月22〜23日 月と接近)

5月22日の深夜〜23日の明け方、月と土星が接近する。画像クリックで星空ガイドの解説ページへ。

土星は、12月下旬以降は太陽に近づいて見えにくくなり、来年1月中旬に合(太陽と同じ方向になること)を迎えて見えなくなります。その後は来年2月下旬ごろから、明け方の南東の空に見えるようになります。

木星も見ごろ

今年の夏から秋は、土星とともに木星も見ごろを迎えます。空が暗ければ、天の川の西に木星、東に土星が輝く、すばらしい光景を眺めることができるでしょう。

【特集】木星とガリレオ衛星(2019年)

モバイルツールでシミュレーション

iOS用の「iステラ」「iステラHD」やアンドロイド用「スマートステラ」などのモバイルアプリを使うと、端末を向けた方向の空を画面にシミュレーション表示するので、土星のある方向や周りの星、星座の名前が簡単にわかります。日時を変化させて月との接近をシミュレーションすることもできます。

他の製品は ›› モバイル製品情報

スマートステラでのシミュレーション

土星の位置や周囲の星座、星の名前をスマートステラで表示。コンパス連動時には実際の空で見える方向までナビゲーションしてくれる。画像クリックで表示拡大。

望遠鏡で環を見よう

土星の環を見るためには天体望遠鏡が必要ですが、それほど大口径のものや高い倍率でなくても大丈夫です。双眼鏡でも、手振れを抑えれば「真ん丸ではなく、何となく楕円っぽく見える」ことはわかるでしょう。手持ちの道具があれば、まずそれを土星に向けてみてください。

公開天文台や科学館などで開催される観望会(観察会、観測会)では、大きい望遠鏡で土星を見ることができ、環の中にある「カッシーニの間隙」と呼ばれる隙間や、8等級の衛星「タイタン」も見えてきます。お近くのイベント情報は、全国プラネタリウム&公開天文台情報ページ「パオナビ」で検索してみてください。

土星

探査機「カッシーニ」が撮影した土星。表面の縞や極域の六角形の模様、環の中ほどにあるカッシーニの間隙などが鮮明に見える。画像クリックでリリース元ページへ(クレジット:NASA / JPL / Space Science Institute)。

変化する環の見え方

土星は地球と同様に傾いた状態で公転しているため、土星の赤道面上に広がっている環の見え方(見かけ上の太さ)は、年々変化します。2年前の2017年5月に土星の北半球が夏至を迎え、土星の北側が最も地球(太陽)の方向に傾いたため、環も太く見えるようになりました。今年も引き続き、環が太く見える状態です。

今後は環が少しずつ細く見えるようになっていき、2025年には地球や太陽から見て環が真横を向くような位置関係となるために、見かけ上土星の環が消えてしまう「環の消失」が起こります。さらにその後は土星の南半球が見やすくなるのに伴って再び環が太くなっていき、2032年には反対の南側の面が一番広く見えるようになります。

環の見え方の変化

1995年から2013年までの環の見え方の変化(撮影:mtajimaさん、画像クリックで天体写真ギャラリーへ)。1995年に環が消失→2002年に(南側に)傾き最大→2009年に環が消失→現在にかけて傾きが大きくなってきている(北側が見やすくなっている)。

ステラナビゲータで見え方をシミュレーション

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、土星の環の見え方や衛星タイタンの位置などを正確にシミュレーションできます。観測や撮影に便利です。

オンラインショップ

アストロアーツのオンラインショップでは、天体望遠鏡などを多数取り扱っています。環を自分の目で観察してみましょう。ライトやクッションなどの便利グッズや、太陽系のことが詳しくわかる書籍などもあります。

天体望遠鏡はアストロアーツオンラインショップで

土星を撮影してみよう

カラーCMOSカメラを天体望遠鏡に接続して惑星を動画撮影し、その中から写りの良いフレームだけを選んで多数枚コンポジットすると、精緻で滑らかな惑星像を得ることができます。天体画像処理ソフトウェア「ステライメージ」を使うと、動画からのコンポジットはもちろん、カラーバランス調整やディテール強調まで簡単かつ詳細に行えます。画像を「作品」に仕上げてみましょう。

惑星を撮影しよう CMOSカメラで動画撮影、ステライメージで処理

「星ナビ」連載記事:

  • 2018年6月号:「CMOSカメラで惑星を撮る 1. 惑星撮影用の望遠鏡とカメラ」
  • 2018年7月号:「CMOSカメラで惑星を撮る 2. 惑星撮影用の準備と実際」
  • 2018年8月号:「CMOSカメラで惑星を撮る 3. 惑星の動画撮影」

星ナビ2018年6月号 紹介記事

星ナビ2018年7月号 紹介記事

星ナビ2018年8月号 紹介記事

土星に関するマメ知識

土星は大きさ(環を含まない、赤道部分の直径)が地球の約9倍ある、木星に次いで太陽系で2番目に大きい巨大ガス惑星です。太陽からおよそ14億km離れており(太陽〜地球の約10倍)、30年かけて公転しています。

表面には木星と同様に縞模様が見られます。また、北極域には六角形の不思議な模様が存在しています。

土星最大の特徴といえば「環」でしょう。環は主に、直径数cmから数mの氷の粒が同心円状に集まってできていて、ところどころに隙間が見られます。幅(明瞭な部分)は土星本体の約2.3倍のところまで広がっていますが、厚みは数百mほどしかありません。

環

探査機カッシーニが撮影した土星の環。画像クリックでリリース元ページへ(クレジット:NASA / JPL / Space Science Institute、以下同)。

衛星

土星には60個以上の衛星が見つかっています。そのうちとくに興味深いのは、タイタンとエンケラドスです。

タイタンは土星最大の衛星で、窒素を主成分とする厚い大気を持っています。メタンの雨が降り、表面に液体のメタンやエタンの川や湖が存在しています。

エンケラドスでは、地下から水蒸気が間欠泉のように噴き出している現象がとらえられており、地下に液体の水が存在すると考えられています。

ほかにも、巨大なクレーターを持つミマス、表面の色がきれいに二分されているイアペタス、環を安定させる役割を果たす羊飼い衛星のプロメテウス、パンドラなど、面白い衛星が多数あります。

タイタン

近赤外線で撮影したタイタン。大気を通して「Senkyo(仙境)」という地形がとらえられている。

エンケラドス

エンケラドス。水蒸気の噴出が見える。

エンケラドス、環、タイタン

手前からエンケラドス、環、タイタン。

多数の衛星

多数の衛星。(左)ヤヌス、(中央)パンドラ、(中央上)エンケラドス、(右)ミマス、(右端)レア。

探査機カッシーニ

土星探査機「カッシーニ」は2004年から2017年までの13年間、土星の大気や模様、環の構造、衛星の特徴などを詳しく調べました。前述したタイタンやエンケラドスに関する発見など科学的な成果だけでなく、数々の美しい画像も私たちに届けてくれました。多数の衛星が環や本体の細かい模様と共に写し出されるのは、土星の近くを飛び回る探査機の視点ならではです。

カッシーニの探査のハイライト(クレジット:NASA / Jet Propulsion Laboratory-Caltech)。