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星ナビ機材セレクション

「セレストロン CPC1100GPS」

アストロアーツオンラインショップ特価
398,000円(税込)

星ナビ 2008年8月号

レポート/川村 晶+星ナビ編集部

2008年12月26日

骨太で安心感のある架台

CPC1100は、口径280mm、焦点距離2800mmのシュミカセ鏡筒を搭載する。この鏡筒部は、長年にわたって生産されているセレストロンのC11鏡筒の現行品とほぼ同じ仕様のものである。主鏡と副鏡には、セレストロンのオリジナルであるXLTスターブライトコーティングが施され、旧来のセレストロン製のシュミカセ鏡筒よりも反射率の向上が図られている。また補正板の素材には、Water White Glass(無色透明ガラス)を採用しているとあるが、これはセレストロン製のシュミカセ鏡筒では、かつていわゆる青板ガラス(ソーダガラス)を素材としていたことから、あえて明記しているようだ。また、ネクスター11GPSでは、鏡筒の素材にカーボンファイバーを採用していたが、CPC1100では、アルミ製のチューブに変更されている。ファインダーは、口径50mm9倍が標準付属となる。

鏡筒正面

鏡筒はC11と同等で、主鏡と副鏡には、いわゆる増反射コーティングのスターブライトXLTコートが施されている。セレストロンマークの入った副鏡裏側のプラスチック製のカバーをはずすと、光軸調整用の押し引きネジが現れる。主鏡はセルに固定されているので光軸調整機構はない。

接眼部

ピント合わせは、ノブを回して主鏡セルを前後させる方式だ。試用機では、ミラーシフトが軽微ながらも確認できた。ノブの取り付け部のみ、オレンジのアルマイトが施され、デザイン上のアクセントとなっている。接眼部は31.7mm径スリーブだが、オプションの2インチ径スリーブにも交換可能。

アイピース群

セレストロンでは近年、高性能なアイピース群をリリースしている。ハイエンドのAxiom LXシリーズは、82度の見かけ視界を持つ。X-CelシリーズはEDレンズを採用し、20mmの長いアイポイントが特徴だ。

ファインダー

口径50mm8倍のファインダーが標準付属する。スプリングを使用したXY調整機構付きブラケットはアルミ製で、鏡筒部からの脱着可能。鏡筒部側のベース部分もアルミ製で、取り付け再現性はかなり良好だ。

架台部は、水平回転軸を収める円盤型のドライブベースの縁から、2本のフォークアームが垂直に伸びているという外観だ。アルティマ2000以降、セレストロンの経緯台式架台のドライブベースは円盤形が特徴的だが、CPCシリーズは一連のネクスターシリーズとは趣を異にしたデザインで、明らかにシリーズの違いを表しているようだ。また、このドライブベース部分の直径が大きく、相対的にフォークアームの外側への張り出し量が少ないことに加え、フォークアームも太いため、外観的にはかなりボリューム感のある頑丈そうな印象を受ける。

鏡筒は、架台の2本のフォークアームにはさまれるように垂直軸に固定されている。鏡筒は物理的にはネジ止めされているだけだが、軸の取り付け精度が自動導入の精度に影響するため、実質的に分離することはできない。

ドライブベースの底面とアームの鏡筒側の部分はアルミダイキャスト製だが、ドライブベースの上面とアームの側面はプラスチック製である。剛性はじゅうぶんだが、架台部と鏡筒部を合わせると約30kgもの重量になる。取っ手が左右のアームに非対称な位置に付いてはいるが、短い距離でもひとりで運ぶことはかなりの労力である。

標準装備されている三脚は二段伸縮式のスチール製で、強度的には申し分ないものが標準装備となる。高さ的には、三脚を伸ばさない状態で架台部を載せても観望に使うにはじゅうぶんだが、後述するように、CPCシリーズはアライメント時に架台の水平出しがある程度必要になる。そのため、傾斜地では脚の長さを調節できる伸縮脚が便利である。

電源はDC12Vで、ACアダプターが付属する。商用電源のない野外での使用には、ポータブル型の充電式バッテリーが純正オプションとして用意されている。

ドライブベース

ドライブベースには、各種コネクタと電源スイッチを装備。電源スイッチの赤色LEDはやや明る過ぎるのが難点だ。水平回転時に電源コネクタも動くのでケーブルの巻き付きには注意。

垂直軸の指標

垂直軸の指標は、赤道儀モードでのホームポジションで使用。CPC1100は赤道儀としての使用も可能だが、国内では赤道儀ウェッジの取り扱いはないとのこと。

三脚

三脚はおよそ10kg。頑丈さはオーバースペックと思えるほどだ。アクセサリートレイもアルミ製で、収納時に閉じた脚から大きく張り出すのがやや難。脚の開き止めバンドも付いている。