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星ナビ機材セレクション

「ボーグ125SD(BORG 125SD)」

アストロアーツオンラインショップ特価
458,000円(税込)

※販売を終了しました

星ナビ 2008年5月号

レポート/川村 晶+星ナビ編集部

2008年5月30日

見て撮ってよしの短焦点屈折

気になる星像だが、結論からいえば、観望用途としてはまったく申し分ない像を結ぶ。トミーテックから公表されている直視での収差図を見ると、g線(青色)がやや離れているが、輝星周囲や明るい月面のリムを見ても、青ニジミのような収差は感じられず、きわめてすっきりとしたシャープな像である。恒星での内外像は、内像と比較して外像の外輪がやや乱れる印象だが、F6という短焦点の明るいレンズとしては対称性は高く、軸上球面収差の少ない光学系であることをうかがわせる。

トミーテック純正のワイドオルソ13.5mmでの56倍で月面をながめてみたが、欠け際のコントラストの高い部分から、海の比較的フラットな部分まで、じゅうぶんな質感の再現がされているように感じる。また、良質なオルソ5mmの150倍で土星を眺めたが、環がかなり細くなり、シーイングも良好ではなかったためカッシーニの間隙を確認するのはややむずかしかったが、土星本体の微妙な濃淡などは明瞭に判別できた。

オリオン大星雲や満月に近い月なども、さまざまな倍率で眺めてみたが、鏡筒内には迷光対策の遮光絞りは取り付けられていないものの、コントラストも実用上まずまずなレベルと感じた。とはいえ、さらなる性能向上のために、オプションで簡単に圧入できるような絞りを用意してほしいところだ。

焦点距離が短く、全長の短い鏡筒の取り回しは便利なのだが、その反面、高倍率が得にくいのが欠点でもある。惑星や二重星の観望に利用したい向きには、良質なバローレンズを用意したい。できることなら、純正でマッチングのよいエクステンダー系の発売を期待したい。視直径が小さく、暗い系外星雲などは、この程度の口径の光学系でこだわって眺める対象ではないだろう。

写真撮影レンズとしての性能も、高いコストパフォーマンスを示している。掲載した作例はトミーテックから提供いただいたものだが、最新のデジタル一眼レフや冷却CCDカメラを組み合わせれば、クオリティの高い素材を得ることができそうだ。

すでに先行して販売されているEDレデューサーF4DGとの相性もよいとされている。115mm径の鏡筒を専用の別売短鏡筒L295mmに変更し、さらにヘリコイドMとEDレデューサーF4DGを組み合わせることで、口径125mm、焦点距離488mm、F3.9というきわめて明るいアストロカメラとなる。ボーグ125ED F6.4PH用に供給されていたF4化のスーパーレデューサー6×7は、イメージサークルが6×7判をカバーしていたが、EDレデューサーF4DGではそこまでのイメージサークルはない。とはいえ、すでにAPS-Cサイズのデジタルカメラや、大きくても35mm判フルサイズの冷却CCDカメラが撮像デバイスの主流となっている現在では、時代に合致した仕様といえる。

現代風ともいえる仕様で新たに登場したボーグ125SDは、従来機と同様にユーザーのさまざまな使用目的、使用環境に対応できる機種といえるだろう。安価で汎用性の高い屈折を求めている向きや、小さな口径のボーグシリーズユーザーのアップグレード用として、その存在価値はじゅうぶんに納得できるものである。

「マカリアンの鎖」の写真

Markarian's Chain
ボーグ125SD +
レデューサー0.85×DG・L【7887】(F5.1)
Canon EOS 5DH (IDASType Ia仕様)
6分露光×12コマ

ボーグ125SDによる実写画像は、トミーテックより提供いただいた。レデューサー0.85×DG・L【7887】を併用し、焦点距離638mm、 F5.1でおとめ座の銀河団である通称「マカリアンの鎖」を35mm判フルサイズのデジタル一眼で撮影したものだ。系外銀河の眼視観望は口径的につらいが、こうした撮影となればきわめて有効な光学系といえるだろう。

パーツ構成例(1)

115φL295鏡筒をセットで販売されている115φL360鏡筒と交換して、さらにヘリコイドMとEDレデューサーF4DG、カメラマウントを組み合わせると、焦点距離388mm、F3.9という明るいアストロカメラへと変身する。もちろん、長時間ガイド撮影を行うには、ガイドシステムをしっかりと構築する必要がある。

パーツ構成例(2)

トミーテック純正のパーツをベースにボーグ125SDの接眼部を構築してみた。いくつかの31.7mm径アメリカンサイズのアイピースで観望してみたが、接眼ユニットNとの併用できちんと合焦した。直視の場合はさらに2インチホルダSがひとつあると、多くのアイピースで問題なくピントが合った。