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星ナビ機材セレクション

「セレストロン NexStar6SE」

アストロアーツオンラインショップ特価
148,000円(税込)

※販売を終了しました

星ナビ 2007年3月号

レポート/川村 晶+星ナビ編集部

2007年4月4日

コンパクトで使いやすい15cm鏡筒

シュミカセといえばセレストロンがもっとも得意とする光学系だが、口径15cmの鏡筒はネクスターでもSEシリーズで初めて搭載されたものである。焦点距離は1500mmだが、鏡筒の全長はおよそ350mmで、同口径で同じF値のニュートン反射や屈折、マクストフカセグレンよりもはるかにコンパクトである。鏡筒重量も4.5kgほどと軽量だ。ネクスター6SEとより大きな口径20.3cmのシュミカセを搭載した8SEの架台部分は同じものだが、コンパクトなネクスター6SEのほうが全体的なバランスがよい印象を受ける。

外観はメタリックオレンジ塗装のアルミ筒に、黒いトップリングと接眼基部が配置されている。ファインダーは、等倍のスターポインターが標準装備である。

基本的な構造はきわめてスタンダードな仕様だ。ピント合わせは主鏡バッフルチューブをガイドに主鏡セルを動かす方式で、接眼基部にあるピント調節ノブを回転させて行う。また、一般的なシュミカセと同様に、主鏡側の光軸調整機構は外部からは見あたらず、補正板に取り付けられた副鏡のみ3本の光軸調整ネジが配置されている。

実際の星像だが、高倍率ではシュミカセ独特な輝星の周囲が多少荒れるような見え方を示す。焦点内外像は、内像よりも外像の周囲が毛羽立ち、対称性はよいとはいえないが、付属のプローセル25mmアイピースでの60倍の像や、さらに倍率を高くした150倍程度の像であれば、散開星団に含まれる微光星の輝きなど、シャープな印象だ。

また、シュミカセは構造的にどうしてもコントラストの点で不利な光学系だが、ネクスター6SEでは補正板の素材にWater White Glass(無色透明ガラス)を採用し、さらに最新のStarBright XLT コーティングを施していることもあり、コントラストが特に悪いという印象はない。残念ながら良シーイングに恵まれた夜の観望ができず、解像力の実視チェックは見送ったが、このクラスの口径で楽しめる天体を観望するには充分な実力を持っているといえる。

ミラーシフトは、試用機ではほとんど気にならないレベルだった。ただし、ピント調節ノブから主鏡セルに動きを伝えるネジには遊びが大きいようで、グリスでガタつきを抑えているためか、主鏡を接眼部に引く(近距離から無限遠)方向でノブを回転させてピントを合わせると、しばらくしてから主鏡が自重で下がって微妙にピントがずれるのを確認した。ノブの回転も、グリスのために粘りのある感じなので、改善を望みたい点だ。

口径15cmのシュミカセという、いままでありそうでなかったクラスの光学系だけに、魅力を感じる人も少なくないだろう。鏡筒と架台のサイズのバランスもよく、全体的にコンパクトにまとまっている感があり、何よりスカイアラインモードというわかりやすいアライメント方式が搭載されたことで、従来のさまざまな自動導入天体望遠鏡よりも使いやすい機種に仕上がっている。自動導入望遠鏡は操作がむずかしそうという人も、安心して使える機種といえる。

接眼部

接眼部は31.7mm径のアイピースホルダが標準装備。天頂プリズムとプローセル26mmアイピースも付属する。アイピースホルダ直下にあるのがピント調節ノブだ。ファインダーは素通しガラスに赤い光点を投影するタイプのスターポインターが標準装備だ。明るい恒星しか見えないが、アライメント後は、自動導入を使えばよいという割り切りだろう。

鏡筒側面(底面)

鏡筒側面(底面)にはアリガタプレートが装備され、架台の垂直軸端にあるアリミゾ部分への着脱が可能だ。プレートは44mm幅のものが使用されている。

鏡筒部を開口部側から見たところ

鏡筒部を開口部側から見たところ。補正板はかつて青板や白ガラスなどが使われていたことから、あえてWater White Glass(無色透明ガラス)を明記しているようだ。中央には副鏡のユニットと光軸調整の引きネジ3本が見える。補正板には、セレストロン独自の最新のStarBright XLTコーティングが施されている。

月の写真

焦点距離が1500mmなので、APS-Cサイズのデジタル一眼レフで月を撮影すると半月がちょうど収まる。
(EOS20Da ISO1600 露出1/350秒)