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星ナビ機材セレクション

「ライトブリッジ ドブソニアン 10インチDX(25cm)」

「ライトブリッジ ドブソニアン 12インチDX(30cm)」

※販売を終了しました。

星ナビ 2006年6月号

レポート/川村 晶+編集部
モデル/一星昌利

2006年6月21日

淡い天体もOK!大口径ドブの威力

ライトブリッジ全体写真

さて、実際にライトブリッジ12インチDXで、ちょうど時期的に見ごろだった春の系外銀河や夏の球状星団を眺めてみた。まずは、標準付属のSW26mmを使い、倍率59倍で観望を行ってみた。

天体を眺めるには、完全手動のドブソニアンでは自分で目的の天体を視野に導入しなくてはいけない。そこで、標準付属のレッドドットファインダーで天体を探してみたが、明るい恒星などはまだしも、肉眼で確認できない星雲星団を数十倍のアイピースの視野に一回の導入操作で確実に導入するのはやや難しいと感じた。口径30cmの天体望遠鏡のファインダーとしては、非力であることは否めないだろう。特に都市部に近い場所で、比較的夜空が明るく、肉眼で見える恒星が少ない環境では、光学ファインダーはぜひとも欲しい。慣れの問題でもあるとは思うが、7〜10倍の光学ファインダーがあれば、メシエ天体などでも存在が容易に確認できる明るいものも少なくないので、導入はより楽になる。ファインダー脚の鏡筒への取り付け部分はアリミゾ式なので、市販されている光学ファインダーへ換装することも可能だ。

また、クレイフォード式の接眼部は、アルミの削り出しをベースにした良質なものである。ドローチューブの繰り出しもなめらかで、ドローチューブのロックネジも付いている。

気になる天体の見え方だが、系外銀河はメシエナンバーの付けられている明るいものでも、小さな口径では存在の確認がやっとだが、口径30cmともなれば、淡いものでもそのディテールをずいぶんと楽しめる。球状星団でも、メシエナンバーの付けられているものでは、多くの恒星が分離して見える。小さな口径の望遠鏡で星雲状に見える程度では、明るさや視直径の大きさの差に気付く程度だが、口径30cmにもなれば、それぞれの特徴が明瞭に区別できる。もちろん、単位面積当たりの輝度が高い惑星状星雲についても同様だ。

観望した夜はシーイングが悪く、高倍率でのニ重星や惑星の観望についての適性には言及しないが、ドブソニアンというスタイルを考えれば、低倍率での気軽なディープスカイ専用と割り切ることも大切だろう。コストパフォーマンスという点を考慮すれば、誰もが納得できるはずだ。

かつて、ドブソニアンは自作することが常識だった。しかし、大口径でのディープスカイを安価に楽しめるスタイルが定着したことで、メーカーの市場への製品投入が始まった。そして、量産効果といくつものメーカーの競争で、低価格化も進んできた。こうした現状のドブソニアン市場で、高いコストパフォーマンスを持ち、分解可能な金属製トラス鏡筒という形式は、ライトブリッジシリーズ以外見当たらない。観望時の鏡筒の組み立てや光軸調整の煩雑さよりも、運搬や収納に有用さを見出し、安価に大口径の世界を味わってみたいという人にとっては、きわめて魅力的なドブソニアンである。


接眼部

接眼部はクレイフォード式で、金属製のしっかりとしたものが付属する。ドローチューブ先端は2インチ径で、31.7mm径のアメリカンサイズに対応するアダプターも標準付属品だ。アイピースの固定はバレルをバンドで締め付けるタイプ。鏡筒内は黒塗装が施されているが、トラスの開放鏡筒なので、コントラストの面では不利な形式だ。実際の観望では極端に像のコントラストが低いとは感じなかったが、トラス部分を覆うような黒い布のカバーが欲しい。


■ミード ライトブリッジの主な仕様
仕様一覧 10インチDX 12インチDX
光学系 ニュートン式反射
口径 254mm 304.8mm
焦点距離 1270mm(F5) 1524mm(F5)
主鏡・副鏡 アルミメッキ・フッ化マグネシウムコート
鏡筒 金属製・トラス鏡筒
架台 パーティクルボード・水平軸ベアリング使用
接眼部 2インチ・クレイフォード接眼部
1.25インチアダプター付属
付属品
ミード SW 26mm QX 2インチアイピース
バッテリー駆動主鏡冷却ファン
レッドドットファインダー
AutoStar Suite(星図ソフトウェア・英語版)
重量 10インチDX 12インチDX
斜鏡部鏡筒 2.7kg 3.2kg
トラス 0.9kg 1.8kg
主鏡部鏡筒 13.5kg 16.2kg
組立時 鏡筒 17.1kg 21.1kg
架台 12.2kg 14.9kg
総重量 29.3kg 36kg
問合せ 株式会社ミックインターナショナル
TEL 045-858-1317