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● おり姫星、ひこ星を見つけよう ●

1年に1度、会える日を楽しみにしながら、天の川の両岸で輝くおり姫星(織女)とひこ星(牽牛)。これらの星を見たことがありますか?

正式には、おり姫星はこと座のべガのことで、ひこ星はわし座のアルタイルのことです。

ベガとアルタイル

写真提供:藤井旭氏

ベガ、アルタイルと、はくちょう座のデネブの三つの一等星を結んだのが「夏の大三角形」です。

七夕の晩には、東の空に、明るいベガとアルタイルを見つけることができます。都会では間を流れる天の川を見ることができませんが、ベガとアルタイルはすぐにわかることでしょう。もっとも、今年は南の空に月と木星が輝いていて、七夕の主役を差し置いて目立っています。

夏の大三角形(2006年7月7日 午後9時の空)

「ステラナビゲータ Ver.7」及びステラナビゲータ・アクセサリー「KAGAYAファンタジー」を使って作成

おり姫星・ひこ星はどんな星

おり姫星のべガは0.0等級で、全天で5番目に明るい星(シリウス、カノープス、リギルケンタウルス(αケンタウリ)、アルクトゥールスに次ぐ)です。太陽からの距離は約25光年です。一方、ひこ星のアルタイルは0.8等級の星。太陽からの距離は約16光年です。

七夕伝説で夫婦とされたベガとアルタイルですが、意外な共通点があります。どちらも、高速で自転している星なのです。私たちの太陽は約25日で1回転していますが、直径が太陽の3倍あるベガは12.5時間、太陽の2倍弱のアルタイルはたったの7時間で1回転しています。そのため、どちらも赤道の方向に大きくふくらんだ、ミカンのような形をしているのです。ある意味「似たもの夫婦」と言えるかもしれませんね。

さて、おり姫星のベガには他にも、いろいろな点で特別な星です。

地球の地軸の方向は天球に対して一定でなく、ちょうどコマが首振り運動をするように地軸自体が大きな円を描いて回転しています。つまり、地球の地軸は傾きはじめたコマが見せるような運動をしているのです。これを「歳差運動」といいます。べガはこの歳差運動のために1万2000年後には天の北極の近くに移動して、北極星として輝くようになるのです。

また、ベガの周りにはチリの円盤が見つかっているので、惑星も見つかるかもしれないと期待されています。

7月号は連載「ビジュアル天体図鑑」でベガをピックアップ → 月刊「星ナビ」7月号

双眼鏡・望遠鏡で見てみよう

おり姫星ベガのすぐ近くに、昔は「七夕の子ども」と呼ばれ、現在では「ダブルダブルスター」と呼ばれているちょっと変わった星があります。

これは連星2つが並んで重星になっていて、4重星のように見える星です。

双眼鏡なら簡単に2つの星に分離できます。さらに4つの星に分けて見るには、口径5cmの望遠鏡で倍率を100倍にすればなんとか分離できますが、8cmの望遠鏡があればしっかり見ることができるでしょう。

(こと座の星図) (こと座ε星)

さらに、こと座には、ひこ星からおくられたエンゲージリングのような天体もあります。「リング星雲」「ドーナツ星雲」といった名前でおなじみの惑星状星雲、M57です。口径8cmの望遠鏡で、小さいながらリング状であることがわかるでしょう。

(M57)

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