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● なぜ梅雨どきに七夕祭り? ●

天保暦から太陽暦に

おり姫星(織女)とひこ星(牽牛)が1年に1度会うことができる七夕ですが、7月7日といえば日本列島のほとんどの地域は梅雨のまっただ中。例年、この時期に2つの星を見ることはなかなか難しいのです。

ではなぜ、天候が悪いこの時期に「星のお祭り」をするのでしょうか?

じつはこの問題は明治の改暦が原因なのです。もともとの七夕は天保暦(いわゆる「旧暦」)の七月七日に祝っていたものです。ところが、明治時代に天保暦から太陽暦(新暦)に変更されたことによって、七夕も約1か月早い時期に祝う行事となってしまいました。

現在では、「新暦の7月7日」「いわゆる旧暦の七月七日」「月遅れ(新暦の8月7日)」の3通りの日付で行われています。

天保暦:明治時代に行われた改暦の直前に使われていた暦。現在私たちが使用している暦はグレゴリオ暦(新暦/太陽暦)です。

新暦七夕と旧暦七夕の星空

現在ではごくあたりまえのようになった太陽暦ですが、太陽暦での7月7日はまだ大部分の地域で梅雨は明けていなく、また、たとえ晴れていたとしても、日の暮れた1時間後ぐらいでは、織り姫星と彦星はまだ東の空の低いところにあります。もし、2つの星がもっとも高く昇る時間まで待っているとすると、夜半過ぎになってしまうのです。

ちなみに天保暦でいう七月七日は、新暦では8月上旬ごろにあたります。今年(2006年)はちょっと早く、7月31日になりますが、それでも梅雨も明けて織り姫星も彦星も高く昇るようになっています。

ちなみに、単純に「旧暦の七月七日」というと、今年はもう一回、8月30日にもやってきます。ちょっと不思議に聞こえるかもしれませんが、旧暦では「うるう日」ならぬ「うるう月」が存在して、旧暦2006年には七月の後に「うるう七月」が入るためこんな事が起こるのです。8月30日ともなれば、織り姫星と彦星は、日が暮れると同時に頭の上で輝いています。そんな中、今年だけは織女と牽牛も二回会っている…かどうかはわかりませんが。

いわゆる「旧暦」の七夕:
「旧暦」は現在では公に使われていないので、国立天文台では旧暦の計算をしていません。そのため、「伝統的七夕」という言葉を使い、旧暦とは別の方法で求めています。また、うるう月は計算に含めていないので、今年の「伝統的七夕」はただ一度、7月31日です。

(2006年7月7日 午後9時の東の空) (2006年7月31日 午後9時の東の空)

「ステラナビゲータ Ver.7」及びステラナビゲータ・アクセサリー「KAGAYAファンタジー」を使って作成