131億年前の銀河を発見

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年10月25日 McDonald Observatory

米大学の研究チームが、これまで確定した中ではもっとも遠い131億光年彼方の銀河を発見した。ビッグバンから7億年後の宇宙の姿が少しずつ明らかになっている。


131億光年彼方の銀河「z8_GND_5296」

131億光年彼方にあることが確定し、史上最遠方の記録を更新した銀河「z8_GND_5296」。はるか彼方にあるため宇宙の膨張で遠ざかるスピードが速く、光の波長が伸びて赤く見える。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, V. Tilvi (Texas A&M University), S. Finkelstein (University of Texas, Austin), and C. Papovich (Texas A&M University))

Steven Finkelsteinさん(テキサス大学オースティン校)らの研究チームが、これまで距離が確定した中ではもっとも遠い、131億光年彼方の銀河「z8_GND_5296」を発見した。これは、2012年にすばる望遠鏡が発見した銀河「SXDF-NB1006-2」の129.1億光年という記録を上回るものだ。138億年前のビッグバンからわずか7億年後の宇宙の姿ということになる。

研究チームでは、ハッブル宇宙望遠鏡が見つけた10万個の銀河から初期宇宙に存在する可能性がある43個を選び出し、ケックI望遠鏡で赤方偏移()を測定した。するとそのうちの1つがこれまででもっとも遠い、宇宙誕生7億年後の昔に存在したものであることがわかったのである。赤外線天文衛星「スピッツァー」の観測で、遠方銀河と紛らわしい、塵が多い類の銀河という可能性も排除することができた。

スピッツァーの観測ではさらに、この銀河では天の川銀河の150倍もの勢いで次々と星が生み出されていることも判明している。3番目に遠い銀河となった「GN-108036」(「SXDF-NB1006-2」よりわずかに近い)も空のひじょうに近い領域にある活発な星形成銀河であり、たった2個のサンプルとはいえ興味深い結果となった。

注:「赤方偏移」 銀河からの光が引き伸ばされて、スペクトル全体が波長の長い方(色で言えば赤い方)にずれる現象。赤方偏移の量が大きいほど遠方の銀河ということになる。今回見つかった銀河の赤方偏移は7.51。

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉