チャンドラ、活動銀河中心ブラックホールの風を観測

【2000年5月26日 Chandra Press Room (2000/5/25)

ペンシルバニア州立大学のNeil Brandt教授をはじめとする研究チームが、NASAのX線宇宙望遠鏡チャンドラを用いて活動銀河NGC3783の中心巨大ブラックホールを観測し、ブラックホール周辺から吹き出す強風のようすを調べることに成功した。

チャンドラがとらえた活動銀河NGC3783
チャンドラがとらえた活動銀河NGC3783
(画像提供=NASA / ペンシルバニア州立大学)

ブラックホール周辺の物質がブラックホールに落ち込むとき、最終速度が光速に近くなるような猛烈な加速から、非常に強力な放射が発生する。この放射がブラックホールを取り巻くガスを熱し、熱されたガスは強風となって外へ吹き出すと考えられてきた。これまではそのようすを詳細に調べることは不可能だったが、チャンドラの威力によりそれが可能となった。

今回のチャンドラによる観測によると、風の温度はセ氏10万度以上、その風速は時速100万マイル(160万km)にも達し、ブラックホールの周囲をほぼ完全に取り巻いている。そして、風に含まれる物質は、酸素、ネオン、マグネシウム、シリコン(ケイ素)、硫黄、アルゴン、鉄などであることがわかった。