ステライメージ10 × RC ASTRO
使い方

     

用意するもの

  • アストロアーツ「ステライメージ10」
    製品版または試用版(10.0g以降のバージョン)
  • RC ASTROのツール BXT/NXT/SXT
    製品版または試用版
  • 処理を行う画像
    コンポジットが完了したものを処理します。
    サンプル画像ダウンロード 北アメリカ星雲/M33銀河

おすすめの処理の順番

3つのツールは、次の順番で使うと効果を引き出しやすくなります。

  1. コンポジット
  2. ぼけ除去(BXT)
  3. ノイズ除去(NXT)
  4. 星除去(SXT)で星画像と星なし画像に分ける
  5. 星なし画像と星画像を、それぞれ仕上げる
  6. [合成]メニュー→[コンポジット]で[スクリーン]で1枚に戻す
  7. ノイズが気になる場合は、仕上げにノイズ除去(NXT)をもう一度軽くかける

フロー図

BXT/NXT/SXT 共通の操作

ダイアログの開き方

  1. 「ステライメージ10」の詳細編集モードで処理したい画像を開く
  2. [ツール]メニュー→[ぼけ除去(BlurXTerminator)][ノイズ除去(NoiseXTerminator)][星除去(StarXTerminator)]のいずれかを選ぶ
  3. 選んだ処理のダイアログが開きます。

※ 以下、メニュー・機能名は「BXT」「NXT」「SXT」のように略して表記します。

「ツール」メニュから開く → ダイアログが開く

ダイアログの項目

BXT/NXT/SXTすべてのダイアログに共通の項目です。

[レベル値の範囲に丸める] RC ASTROに画像を渡すときに、どの範囲の明るさを渡すかを決めます。

  • OFF(通常はこちら):画像に含まれる明るさの全範囲を、処理で明るくなる分の余裕を持たせて渡します。表示上は白飛びしている星の芯や明るい星雲の中心部も、情報を保ったまま処理されます。処理後の画像は、元と同じ明るさの尺度に戻ります。
    レベル範囲の外の情報が失われるので、あらかじめレベル値を適切に調整してから処理してください。
  • ON:表示しているレベル範囲の外は不要で、見えている範囲だけで仕上げたいときにはONにします。
    いま表示しているレベル値(最小値~最大値)の範囲だけを渡します。最大値より明るい部分は最大値に、最小値より暗い部分は最小値にそろえられます(丸められます)。

[デフォルト値へ戻す] 各設定を初期値に戻します。

[ヘルプ] 各項目の説明を表示します。

ぼけ除去(BXT:BlurXTerminator)

効果

天体写真の星や星雲は、大気のゆらぎ、光学系の収差、ピントのずれ、追尾のわずかなずれなどで、少しずつ「ぼやけて」写っています。写っている星の形を見ると、その画像がどのようにぼやけたのかがわかります。

BXTでは、画像の中の星の形からぼやけ方をAIが読み取り、ぼやける前の姿に戻します(デコンボリューション)。ふくらんだ星が小さく引き締まり、星雲や銀河の細かな構造が浮かび上がります。写野の周辺で流れたりいびつになったりした星も、丸く整えられます。

ぼやけた星像を復元するしくみ

こんなときに有効

  • 星雲や銀河の細部をもっとくっきり見せたいとき
  • 星が大きくふくらんで、星雲や銀河が星に埋もれて見えるとき
  • 写野の周辺の星が、収差で流れたり、いびつな形になったりしているとき

処理をかけるタイミング

コンポジットが終わったら、強調処理を行う前に最初にBXTの処理をかけます。デジタル現像やトーンカーブで階調を変えた後の画像では、ぼやけ方を正しく読み取れません。ノイズ除去よりも前に処理をかけてください。

BXTを行うタイミング

操作の手順

  1. ステライメージの「詳細編集モード」でコンポジット済みの画像を開きます。
  2. 「ツール」メニュー→[ぼけ除去(BlurExterminator)]を選びます。
  3. まずは以下の設定にして[OK]をクリックします。
    シャープ化:ON
    恒星調整:シャープ 0.2/ハロー調整
    非恒星調整:シャープ 0.5
  4. 処理前の画像と拡大して比べ、効果を確認します。強すぎる、または弱すぎる場合は、元に戻して値を変え、もう一度実行します。

ダイアログの項目

BXTダイアログ
「ぼけ除去」ダイアログ

[シャープ化] ONにすると、下の[恒星調整][非恒星調整]の設定で星と星雲をシャープにします。OFFにすると、シャープにはせず、収差などによる星の形のゆがみを整える補正だけを行います。

[恒星調整] 星に対する設定

  • [シャープ] 値を大きくするほど星を小さく引き締めます。
  • [ハロー調整] 明るい星のまわりの淡いにじみ(ハロー)の明るさを調整します。マイナスにするとハローが暗くなり、プラスにすると明るくなります。0では調整しません。

[非恒星調整] 星雲や銀河など、星以外に対する設定

  • [シャープ] 値を大きくするほど星雲や銀河の細部をシャープにします。
  • [PSF半径] 画像のぼけの大きさを設定します。
    • [自動](デフォルト推奨) 画像の星の形から自動で大きさを求めます。
    • [手動] [自動]では効果が弱すぎる、または強すぎると感じたときに手動でぼけの大きさを調整します。

[レベル値の範囲に丸める] 共通の操作の説明を参照

使いこなしのポイント

まずは控えめに
[シャープ]は強くしすぎると、星雲の構造が不自然に細かく、ざらついた印象になります。拡大と縮小を行き来して、全体が自然に見えるかを確認しましょう。

星だけ整えたいときは[シャープ化]を外す
星雲の雰囲気は変えずに、周辺の星の流れだけを直したいときに便利です。

星が黒く縁取られたら
[恒星調整]の[シャープ]が強すぎるので、これを下げてください。

処理をかけるのはコンポジット直後
コンポジットが終わり、レベル調整やトーンカーブで強調する前の画像にかけます。強調した後の画像では、にじみ方を正しく読み取れません。

星の補正と、星雲のシャープ化を分けて調整できる
星の形を整えるだけにとどめることも、星雲の細部まで積極的にシャープにすることもできます。まずは控えめに始め、効果を見ながら強めていくのがおすすめです。

やりすぎに注意
処理を強くかけすぎると、星雲が不自然に細かくざらついた印象になります。拡大と縮小を繰り返して、全体の自然さを確認しましょう。

ノイズ除去(NXT:NoiseXTerminator)

効果

画像のディテールとノイズをAIが見分け、ノイズだけを取り除きます。ぼかしてノイズを目立たなくする従来の方法と違い、星雲の細かな構造や星の形はそのまま残ります。

こんなときに有効

  • 暗い背景や淡い星雲がざらついているとき
  • 強調するとノイズまで目立ってしまい、思い切って強調できないとき
  • 色ノイズ(背景の赤や緑のまだら)が気になるとき

処理をかけるタイミング

  • ぼけ除去(BXT)の直後、強調の前
    強調するとノイズも一緒に持ち上がってしまうので、その前に抑えておきます。後の処理で思い切って強調できるようになります。
  • 仕上げに、必要なら軽くもう一度
    強調や星除去の後で、まだノイズが気になる場合に軽くかけます。星除去(SXT)で分けた星なし画像だけにかけると、星のシャープさを損なわずにすみます。

NXT処理のタイミング

操作の手順

  1. ぼけ除去(BXT)を行う場合は、先にBXT処理を済ませておきます。
  2. [ツール]メニューから[ノイズ除去]を選びます。
  3. [処理方法]を[強度]にし、[強度]を控えめな値から試して[OK]をクリックします。
  4. 背景や淡い星雲を拡大して、ノイズの減り方とディテールの残り方を確認します。

処理方法の選び方

[処理方法]で、どこまで細かく分けて調整するかを選びます。表示される項目が変わります。

処理方法調整できることこんなときに
強度ノイズ除去の強さを1つの値で調整まずはこれ。ほとんどの画像はこれで十分です
輝度・色明るさのノイズと色のノイズを別々に調整色ノイズだけ強く消したい、明るさのざらつきは少し残したいとき
高周波・低周波細かいノイズと大きなムラを別々に調整細かいざらつきは消えたが、ぼこぼこした大きなムラが残るとき
複合輝度・色・高周波・低周波を組み合わせて4つを別々に調整細かく追い込みたい上級者向け

ダイアログの項目

[処理方法]が[強度]のとき

  • [強度] ノイズを取り除く強さを設定します。値を大きくするほど、強くノイズを取り除きます。

NXTダイアログ 強度

[処理方法]が[輝度・色]のとき

  • [輝度] 明るさのノイズ(白黒のざらつき)を取り除く強さを設定します。
  • [色] 色のノイズ(赤や緑のまだら)を取り除く強さを設定します。色のノイズは目立ちやすいので、[輝度]より強めにしても不自然になりにくい傾向があります。

NXTダイアログ 輝度・色

[処理方法]が[高周波・低周波]のとき

  • [高周波] 細かいノイズ(1ピクセル単位のざらつき)を取り除く強さを設定します。
  • [低周波] 大きめのノイズ(ぼこぼこしたムラ)を取り除く強さを設定します。
  • [スケール] 「細かいノイズ」と「大きめのノイズ」を分ける境目の大きさを設定します。値を大きくすると、より大きなムラまで「細かいノイズ」として扱います。

NXTダイアログ 高周波・低周波

[処理方法]が[複合]のとき

[高周波]と[低周波]のそれぞれで、[輝度]と[色]を別々に指定します。[スケール]は[高周波・低周波]と同じです。

NXTダイアログ 複合

[反復:回数] ノイズ除去をくり返す回数を設定します。回数を増やせば1回では取りきれないノイズまで取り除けますが、処理時間が長くなり、のっぺりしやすくなります。

[レベル値の範囲に丸める] 共通の操作の説明を参照

使いこなしのポイント

少しノイズを残すくらいが自然
ノイズを完全に消そうとすると、背景がのっぺりしてかえって不自然に見えます。わずかにざらつきが残るくらいが、写真らしい自然な仕上がりに見えます。のっぺりしすぎたら、[強度]を下げるか[反復]の[回数]を減らしてください。

強調前は控えめに
強調前の画像ではノイズが見えにくいので、一時的にレベル値を狭めて(明るく表示して)確認すると判断しやすくなります。

色ノイズだけ気になるなら[輝度・色]
[輝度]を弱め、[色]を強めにすると、ざらつき感を残しながら色のまだらだけを消せます。

2回目は控えめに
最後にかけるときは、1回目より弱めにします。

星除去(SXT:StarXTerminator)から再合成まで

効果

SXTでは、AIが画像の中の星を見分けて取り除き、星雲や銀河、背景だけの「星なし画像」を作ります。あわせて「星だけの画像」も作れます。1枚の画像を「星なし」と「星だけ」に分けて別々に仕上げてから1枚に戻せるので、思い切り処理をかけることができます。

こんなときに有効

  • 星雲を大胆に強調したいとき
    強調しても星がふくらんだり、白飛びしたりしません。
  • 星雲だけにノイズ除去やシャープ化、彩度アップをかけたいとき
    星に影響させずに処理できます。
  • 星が多すぎて主役が埋もれるとき
    星画像を暗くしたり小さくしたりして控えめにし、主役の星雲や銀河を引き立てられます。
  • 星の色や明るさを別に調整したいとき

処理をかけるタイミング

ぼけ除去(BXT)とノイズ除去(NXT)、ある程度の強調が終わった後にかけます。星を分けてからは、星なし画像と星画像をそれぞれ仕上げ、最後に1枚に戻します。

SXTの処理の流れ

操作の手順

  1. 「ステライメージ10」で強調まで終わった画像を開きます。
  2. [ツール]メニュー→[星除去(StarExterminator)]から「星除去」ダイアログを表示します。
  3. [星のみ画像も作成]と[アンスクリーン]にチェックを入れて[OK]をクリックします。
  4. 星なし画像と星画像をそれぞれ仕上げます。
    • 星なし画像:星雲や銀河の強調、彩度の調整、ノイズ除去(NXT)などを行います。淡い部分を思い切って持ち上げても、星がふくらむ心配はありません。
    • 星画像   
      • 星を控えめにしたいときは、明るさを下げます。
      • 星を小さくしたいときは、[フィルタ]メニュー>[スターシャープ][スターエンハンス]などの処理を行います。
      • 星の色を鮮やかにしたいときは、彩度を上げます。
  5. 星なし画像を選びます。
  6. [コンポジット合成]を選び、合成方法を[スクリーン]、指定画像を星画像にします。
    [スクリーン]は、明るい部分を重ねるように合成する方法です。どちらかの画像で明るい部分は合成後も明るく残りますが、加算と違い、レベルの範囲内で飽和していない部分は合成後も飽和しません。元画像と指定画像を入れ替えても結果は同じです。
  7. [OK]をクリックすると、星が戻った1枚の画像になります。

コンポジットダイアログで「スクリーン」を選択

ダイアログの項目

SXTダイアログ

[星のみ画像も作成] ONにすると、星なし画像に加えて、星だけの画像も作成します。星を別に仕上げて最後に戻すときはONにしてください。OFFにすると星なし画像だけを作成します。

[アンスクリーン] 「星だけ画像」の作り方を選びます。

  • ON(おすすめ) [コンポジット合成]の[アンスクリーン]と同じ計算で星画像を作ります。星なし画像と星画像を[スクリーン]で合成すると、元の画像に戻ります。星画像を処理した後も、[スクリーン]で戻せば明るい部分が白飛びしにくくなります。
  • OFF 元の画像から星なし画像を差し引いて星画像を作ります。この場合は、[合成]→[コンポジット]の[加算]で戻すと元の画像になります。

[レベル値の範囲に丸める] 共通の操作の説明を参照

[コンポジット]の[アンスクリーン]

[星除去]で星画像を作らなかった場合や、星なし画像に手を加えた後で星画像を作り直したい場合は、アンスクリーン合成を使います([合成]メニュー→[コンポジット]→[合成方法:アンスクリーン])。星ありの元画像を選び、指定画像に星なし画像を指定すると、星だけの画像が得られます。[スクリーン]と違い、元画像と指定画像を入れ替えると結果が変わります。

使いこなしのポイント

  • 星の取り残しや跡が出たら
    明るい星のまわりに跡が残る場合は、星なし画像をレタッチするか、強調をやや控えめにしてください。
  • 星を消しすぎない
    星画像を暗くしすぎると、星空らしさが失われます。元画像と見比べながら調整しましょう。
  • [レベル値の範囲に丸める]は通常オフで
    オフにしておくと、白飛びした明るい星の芯も情報を保ったまま分離されるので、星の除去跡がきれいになりやすくなります。

困ったときは

Q. 処理後、明るい星の芯がつぶれた・平らになった

A. [レベル値の範囲に丸める]にチェックが入っていると、レベル値の最大値より明るい部分がそろえられます。チェックを外して処理し直してください。

Q. 処理後の画像が真っ暗、または真っ白に見える

A. レベル値を調整して表示を確認してください。ステライメージでは、表示の明るさはレベル値で決まります。