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宵の明星・金星(2016年冬〜2017年春)

2016年の12月ごろから2017年3月ごろまで、宵の明星の金星が見ごろです。夕方の南西の空で圧倒的に目立つ輝きは、町中でもすぐに見つけられるでしょう。

時おり細い月と並ぶ光景は、とくに美しい眺めです。肉眼や双眼鏡で見たり、写真に撮ったりしてみましょう。

金星を見つけよう

宵の明星

金星は2016年の初冬ごろから2017年3月中旬ごろまで、「宵の明星」として見えています。夕方から宵の早い時間帯に西の空でキラキラと眩しいほど明るく輝いているので、一目でそれとわかります。

とくに冬の間は空気が澄んでいることが多いので、日没前から見えることも珍しくありません(慣れた人なら青空の中で見つけることもできます)。1月中旬の「東方最大離角」(›› 解説)から2月中旬の「最大光度」のころが見つけやすいでしょう。どのくらい早い時刻から見えるか挑戦してみてはいかがでしょうか。

※挑戦する場合には太陽を見ないようにじゅうぶん注意しましょう。

形が変わる金星

地球・金星・太陽の位置関係により、金星は月のように大きく満ち欠けして見えます。また、月と異なり、金星は見かけの直径も大きく変化します。肉眼ではわかりませんが、倍率が高めの双眼鏡や天体望遠鏡で見るとよくわかります。天体観察会などに参加して、欠けた姿をぜひ観察してみてください。

2016年12月から2017年3月までの、夕空の金星。日没1時間後に東京で見た空の様子。金星と月は形がわかりやすように大きく拡大して表示(ステラナビゲータでシミュレーション)。

他の動画は ›› アストロアーツYouTubeチャンネル [YouTube]

金星と月などとの接近

およそ1か月に1回くらいのペースで、金星と細い月が並んで見えることがあります。金星の輝きはそれだけでも美しいものですが、地球照(地球で反射した太陽光に照らされ、月の暗い側がうっすらと見える現象)を伴った幻想的な細い月と金星が夕空に並ぶ光景は、さらに見事な眺めとなります。金星と月の接近は肉眼でもよく見えますが、双眼鏡があるといっそう美しさが際立って感じられることでしょう。

地上風景も入れた写真撮影にも、ぜひ挑戦してみてください。空の色や雲の形、町明かりの様子は刻一刻と変わっていきます。シャッターチャンスを逃さず、共演を記録してみましょう。

日付 現象備考
12月3日 細い月(月齢4)と並ぶ
1月2日 細い月(月齢4)と大接近
1月12日 東方最大離角(›› 解説
1月31日 細い月(月齢3)と並ぶ
2月上旬 火星と接近最接近2月2日ごろ
2月17日 最大光度
3月1日 細い月(月齢3)とやや離れて並ぶ
3月23日 内合(›› 解説黄道座標系では25日

金星は3月下旬に内合(›› 解説)となり、太陽と同じ方向に位置するので見えなくなります。その後は4月中旬ごろから、明け方の東天に「明けの明星」として見えるようになります。明けの明星となって以降の接近現象については「現象ガイド」のページで順次ご紹介します。

星図(3月1日 細い月と金星、火星が並ぶ)

3月1日の夕方から宵、細い月と金星がやや離れて並ぶ。火星も近くにある。

モバイルツールでシミュレーション

iOS用の「iステラ」「iステラHD」やアンドロイド用「スマートステラ」などのモバイルアプリを使うと、金星の周りの星や星座が簡単にわかります。コンパス連動によって建物の陰になっていても方向がわかるので、町中でも位置の見当をつけることができます。

他の製品は ›› モバイル製品情報

スマートステラでのシミュレーション

1月2日に細い月と金星が大接近する様子をスマートステラで表示。コンパス連動時には実際の空で見える方向までナビゲーションしてくれる。クリックで拡大。

2017年の天文現象は「アストロガイド 星空年鑑」でチェック!

「アストロガイド 星空年鑑 2017」

8月8日未明の部分月食のほか、アルデバランやレグルスが月に隠される恒星食、環が大きく開いた土星、……2017年には金星のほかにも興味深い天文現象や天体がたくさんあります。もちろん、日々の星々や月の満ち欠けなども楽しみです。

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金星に関するマメ知識

灼熱の惑星

太陽系で地球の1つ内側を公転している金星は、大きさも質量も地球によく似た惑星です。自転周期が243日と非常に長く(惑星のなかで最長)、しかも公転の方向と逆回転に自転している(惑星の中で唯一)という、不思議な特徴があります。

金星は二酸化炭素を主成分とする厚い大気を持ち、地表付近の大気圧が90気圧にも達します。また、温室効果で地表の温度は約470℃にもなります。

この高温高圧に加えて、金星では二酸化硫黄の雲から硫酸の雨が降っており、上空には時速400kmと自転の60倍も速い暴風(「スーパーローテーション」)が吹いています。金星は、ローマ神話の美の女神「ウェヌス(ヴィーナス)」の名を冠した惑星とは思えないほどの過酷な環境が広がっているのです。

金星探査機「あかつき」

2010年に打ち上げられた日本の探査機「あかつき」は、2015年12月から金星の周回探査をしています。6種類のカメラで大気や雲の動き、温度などを観測し、金星の素顔を解き明かそうとしています。

「星ナビ」2016年6月号「暁のヴィーナス」

月刊「星ナビ」2016年6月号の「あかつき」特集

「あかつき」が撮影した金星

2015年12月に「あかつき」が撮影した、4つのカメラによる金星の擬似カラー画像(出典:JAXA)。

太陽系内の動き

金星は太陽系の中で地球よりも内側を公転する内惑星で、225日で太陽の周りを一周します。地球より内側なので、地球の夜側(太陽の反対方向)に見えることはなく、必ず夕方の西の空(宵の明星)か明け方の東の空(明けの明星)に見えます。

とくに、見かけ上太陽から最も離れるころには、日没や日の出前後の地平線からの高度が高くなり見やすくなります。金星が太陽から東に最も離れるときを「東方最大離角」といい、「日没のころに夕方の西の空」で見やすくなります(東と西を間違えないように注意)。反対に太陽から西に最も離れるときは「西方最大離角」で、「日の出のころに明け方の東の空」で見やすくなります。最大離角のころに金星を天体望遠鏡で観察すると、半月状に見えます。

また、地球から見て金星が太陽と同じ方向になる状態を「合」といい、太陽の向こう側にあるときを「外合」、手前(太陽と地球の間)にあるときを「内合」といいます。内合の前後の金星は地球に近いので大きく見え、さらに非常に細くなります(見かけ上太陽に近いので、観察にはじゅうぶん注意しましょう)。

内合の特殊な状態が、金星が太陽面と重なって見える「太陽面通過」です。前回は2012年6月に起こりました。次回は2117年まで起こりません。

2016年11月から2017年3月までの、太陽系内の地球と金星の動き。(ステラナビゲータでシミュレーション)。右上の囲み内は地球から見た金星の大きさや形の変化を表す(北が上、正立像)。