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2005年火星大接近

火星ってどんな星?

はじめに

火星

 私たちの住む「地球」のすぐ外側をまわっている惑星「火星」は、2年2カ月毎に地球に接近し、美しい姿を見せてくれます。2003年8月には約6万年ぶりの大接近と騒がれ、多くの人たちがその怪しいまでのオレンジ色の輝きに胸躍らせ、天体望遠鏡で見た美しい火星表面の模様に魅了されました。2003年8月22日には、地球に5881万キロまで接近し、視直径25.1秒、光度マイナス3等級となり、口径5センチクラスの小望遠鏡でも、火星面の微細な模様をとらえることができました。

 その「火星」が、2005年10月30日に再び大接近します。今年の火星は、地球に7733万キロ、視直径20.2秒、光度マイナス2等級といずれも前回の大接近には及びませんが、それでも口径8センチ以上の望遠鏡があれば、充分にその模様を楽しむことができます。

火星ってどんな星?

火星の概要

 太陽系には現在9つの惑星があり(最近10番目の惑星が発見されたという報道がありましたが)太陽のまわりを回っています。内側から水星−金星−地球−火星−木星−土星−天王星−海王星−冥王星(おなじみの水金地火木土天海冥ですね)の順に並んでいます。

 というわけで、火星は地球のすぐ外側をまわる惑星です。

右図(クリックすると拡大します):火星は太陽系の第4惑星である。太陽からの平均距離は2億2790万km(1.5237AU)、離心率は0.0934で、かなりの楕円軌道を巡り、太陽の周りを約687日の周期で公転している。

2年2ヶ月ごとの接近 

火星接近模式図

 地球が1年(約365日)で太陽をぐるっと一回りしているのに対して、火星は約687日かけて太陽のまわりを一周しています。内側をまわる地球が火星に追いついて、追い越すときが接近の時期になるのです。

 地球がほぼ円に近い軌道をもつのに対して、火星はやや押しつぶされた形の楕円軌道をまわっているため、接近する場所によってその距離が大きく変化します。最も近いときで約5600万キロ、最も遠いときには約1億キロと大きな差ができます。

 これが、大接近と小接近が起こる理由です。

右図(クリックすると拡大します):模式図

火星の地表・大気

火星展開図

 さて、夜空に輝く火星は、誰の目にも明らかに、赤あるいはオレンジ色をした星に見えますが、これは火星の地表に大量に含まれる酸化鉄が太陽光を反射して輝いているものです。大きさは地球の約半分、表面の重力も地球の38%しかありませんが、固い地表をもつ地球型惑星の1つです。

右図(クリックすると拡大します):火星展開図

 火星には大気がありますが、その組成は地球とは大きく違います。火星大気の主成分は二酸化炭素(約95%)で、次いで窒素(3%)、アルゴン(1.6%)となります。地球上に豊富にある酸素と水はごくわずかと考えられています。さらに、火星大気の大気圧は表面付近でも7.5ヘクトパスカルしかなく(地球大気は約1013ヘクトパスカル)非常に薄いことが分かっています。

 火星の地表には、クレーターや山、大きく広がった平野や、大渓谷など起伏に富んだランドスケープが見られます。中でも特筆すべきは、太陽系最高峰を誇る巨大火山であるオリンポス山(標高2万6000メートル、裾野の直径約500キロ)の存在と、マリネリス大峡谷の存在でしょう。

 さて、もう1つ忘れてはならないのが、火星の両極に見られる極冠と呼ばれる白く輝く地形です。これは、ドライアイスと氷からできていると言われているもので、(火星の)季節に応じて大きさが変化することが分かっています。大きく明るい極冠は、小口径の望遠鏡でも簡単に確認できます。

火星をはじめ太陽系について最新のビジュアルを多用して解説した「太陽系ビジュアルブック」

太陽系ビジュアルブック

  「太陽系」という言葉を聞いて、多くの方が最初に脳裏に浮かべるのは、「太陽の周りを地球や火星や木星などたくさんの惑星がぐるぐると回っている」というイメージでしょう。

 しかし、太陽系についてもう一歩踏み込んだ内容となると、宇宙や天文の専門家や興味をもって勉強された方を除いて、一般には意外に知られていないというのが現状のようです。

  「太陽系ビジュアルブック」では、基本的な事柄はもちろんのこと、「土星以外にもリングのある惑星がある」、「天王星は横倒しになって公転している」、「水星は1日が1年より長い」、「木星はガスでできている」、「火星には太陽系最大の火山と渓谷がある」、「太陽系の領域の半径は一光年くらいある」、「彗星の正体は汚れた雪だるま」、「水星表面の55%はどんな地形かわかっていない」といった思いがけない事実についても、くわしく解説しています。

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製品情報:太陽系ビジュアルブック

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