2004年 しぶんぎ座流星群

お正月は空気がきれいで、星が意外とよく見えることがあります。そんなお正月の夜空で、たくさんの流星が見られることがあります。毎年1月4日ころをピークとする「しぶんぎ座流星群」です。

しぶんぎ座流星群とは

しぶんぎ座流星群は、8月のペルセウス座流星群や、12月のふたご座流星群とならんで年間の三大流星群のひとつとして知られています。

2004年のおすすめの流星群と極大日

流星とは、惑星間空間にあるわずか数mmから数cmほどの流星物質(ダスト)が高速で地球大気に突入してくるときに、地球大気と衝突して地上から約100km程度の高度で一瞬発光する現象です。流星物質は、そのもととなる彗星(母天体)が太陽に接近したときに放出されることがわかっていますが、先日発表された説によれば、しぶんぎ座流星群の母天体は小惑星2003 EH1だと考えられています(関連ニュース:「りゅう座流星群の母天体、発見か?」)。

しぶんぎ座流星群の流星物質の軌道は、地球軌道と71度という急角度で交差しています。地球大気へ突入してくる速度は秒速41kmで、流星が比較的ゆっくりと流れるという特徴があります。

しぶんぎ座流星群の放射点「りゅう座」をさがせ!

しぶんぎ座流星群は、「りゅう座ι(イオタ)流星群」とも呼ばれています。これは、流星が流れたとき、その流れた方向を逆にたどっていくと、りゅう座ι星のあたりの一点を中心にしているように見えることからそのように呼ばれています。この中心となる点は放射点(あるいは輻射点)と呼ばれています。流星を見るときは、漠然と流れるのを待つだけでなく、星座をたどり、放射点の位置の見当をつけておきましょう。

りゅう座ι星の探し方の図 まず、北の空の北斗七星を見つけましょう。そのひしゃくの柄(手に持つ部分)のカーブを延ばしていき、うしかい座の1等星アルクトゥールスへとたどります。アルクトゥールスを頂点としてネクタイの形に星を結び、うしかいの手足の星もたどります。うしかいは2匹の猟犬を従えた姿をしていますが、その手綱を持つ高く振り上げた左手の先にあるのが、りゅう座です。「へ」の字に並んだ3つの星と、りゅうの頭の4つの星の四角形が目印です。しぶんぎ座流星群の放射点は、「へ」の字のひとつ、りゅう座ι(イオタ)星のあたりです。

放射点が「りゅう座」なのに、どうして「しぶんぎ座流星群」というのでしょうか。昔々(18世紀の終わりごろ)、このあたりにフランスの天文学者ラランドが作った壁面四分儀座という星座があったからです。この流星群の学術名Quadrantidsはその名残りです。ちなみに10月のジャコビニ流星群はDraconidsで、こちらもりゅう座に放射点のある流星群です。

2004年の条件は?

2004年の場合「ふたご座流星群」「ペルセウス座流星群」については、最高の条件下で1時間に50個以上の流星が見られると期待されていますが、しぶんぎ座流星群については、これらの流星群には及ばず、半分かそれ以下でしょう。2004年のさまざまな条件を考え合わせると、明け方の時間帯に1時間に10〜30個程度と予想されます。

2004年のしぶんぎ座流星群のピークの時刻は1月4日16時と昼間にあたっています。しぶんぎ座流星群の場合、流星がたくさん現れる時間帯はせいぜい数時間と短いのが特徴です。つまり、ピークの時刻が昼間にあたっている2004年は、前の晩、あるいは次の夜には、あまりたくさんの流星を期待できないということになります。

また、月齢12という、満月前の明るい月が夜空にこうこうと輝いています。流星を見るには、月明かりはとても邪魔な存在です。この月は、午前3時ころになると西の空に沈みます。月が沈みかける明け方の時間帯が、比較的見やすいといえるでしょう。ただし、月が空高く見えている時間帯であっても、しぶんぎ座流星群の流星には明るいものも多いため、まったく見えないというわけではありません。

さまざまな条件はあまり良くないとはいえ、年間の三大流星群のひとつですから、他のマイナーな流星群に比べれば見応えがある流星群です。1月3日夜から4日明け方にかけて流星がしだいに増えていき、4日夜から5日明け方にかけてはしだいに少なくなっていく傾向がとらえられるかもしれません。

流星をどこで見る?

1時間に最大30個といっても、市街地では夜空に漏れる無駄な夜間照明(光害)などの影響で見える数はぐっと少なくなってしまいます。都会ではせいぜい1時間に数個程度と、見える数は激減してしまうでしょう。少しでもたくさんの流星を見るには、市街地の光害から逃れ、見晴らしの良い場所がベストです。

どうしても市街地で見る場合には、河川敷、公園、グラウンドなどで、なるべく周囲の明かりのない場所を探してみましょう。2001年の「しし座流星群」のように雨のように流星が見られるわけではありません。過度な期待はせず、しっかりと防寒をして、冬の星空を散策しながら、気長に流星を待つというスタイルで楽しみましょう。寒い冬空の下で相当冷え込みますから、長時間眺めるには、椅子や温かい飲み物も用意したいところです。

そして当然のことながら、安全面には充分に配慮し、立入禁止区域には決して入らず、周辺住民に迷惑をかけることのないよう、ごみの持ち帰りなどマナーを守って楽しみましょう。

こんな楽しみ方も

流星を電波で観測する方法もあります。この「流星電波観測」では、昼夜を問わず流星をとらえることができるため、昼間のピークをとらえる可能性があります。インターネットで国内外の流星電波観測の結果を刻々と伝えてくれるサイトもありますので、流星群が活動しているかどうか、チェックしてみましょう。