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夏の星空を楽しもう

夏の星座を探そう

夏の大三角(はくちょう、こと、わし)

東の方角に見た「夏の大三角」

 夏の星空の目印は、東の空の明るい3つの星で作る夏の大三角です。まず東の空の高いところで輝く星を見つけます。これは〈こと座〉のベガです。ベガから右下に下がったところに、1つの明るい星と、両わきにやや暗い星が並んでいるのが見つかります。明るい星は〈わし座〉のアルタイルです。

※左の星図はクリックすると拡大します。ステラナビゲータ Ver.7による「東の方角に見た夏の大三角」

 ベガとアルタイルは、七夕(たなばた)伝説の織り姫と彦星です。これら2つの星の間には、伝説と同じように、天の川が流れています。夏の天の川は、ほかの季節よりも明るく、はっきりと見えます。月のない晩の深夜、空気のきれいなところで頭の上を見上げてみてください。眼が夜空の暗さになれるころ、南から北に流れる天の川が見えてきます。さてベガとアルタイルの左側には、天の川の上を翼で橋渡しするように〈はくちょう座〉があります。シッポの星デネブと、先ほどのベガとアルタイルを結ぶ三角を夏の大三角とよんでいます。

星座早見

 今度は南の空を見てみましょう。南の低いところには、Sの字のカーブを描くように星が並んだ〈さそり座〉が見つかります。目印は赤く光っているサソリの心臓、アンタレスです。〈さそり座〉の東側(左)には、〈いて座〉が見つかります。目印は小さなスプーンの形に並んだ、南斗六星です。そのまま眼を上の方へ見上げていくと、ホームベース型をした〈へびつかい座〉や、天頂のあたりに〈ヘルクレス座〉も見つかります。

※右の星図はクリックすると拡大します。星座入門より「星座早見」

 これらの星座は「夏の星座」と分類されていますが、どういう基準で、さまざまな星座を季節ごとに分けているのでしょうか。一般的には、夜の21時ごろ、南と東と北の方角の高いところに見える星座を、各季節の星座とよんでいます。西の空に見える星座は、時間がたつとすぐに沈んでしまうので、季節の星座には数えません。また南の低いところにある星座は、見やすい季節や時刻が限られているので、チャンスを逃さないようにしてください。

こと座(ベガ、ダブルダブルスター、環状星雲)

こと座

 7月7日の七夕(たなばた)のころなら東の空、8月ならば南の空を見上げると、明るい星が3つ、大きな三角形を描いて輝いています。これが「夏の大三角形」で、〈こと座〉のベガ、〈わし座〉のアルタイル、そして〈はくちょう座〉のデネブの3つの1等星でできています。

※右の星図はクリックすると拡大します。星座入門より「夏の大三角」

 7月の宵空なら、ベガがいちばん上に見えているはずです。その右下がアルタイル、左下がデネブです。このうち、もっとも明るいのは〈こと座〉のベガです。ベガのわきに、4つの星が平行四辺形のように並んでいて、たて琴の形を作っています右下の〈わし座〉のアルタイルのそばに3等星の星が並び、そこから両側にワシの翼が伸びています。左下の〈はくちょう座〉のデネブは、白鳥のシッポのところの星です。デネブは「尾」という意味です。デネブから、ベガとアルタイルの中間へと星が並んでいて、これらが白鳥の長い首を表わしています。途中で左右に羽が伸びて、大きな十字を描いています。これを「北十字」とよぶこともあります。

さそり座(アンタレス、M6、M7、M4)

さそり座

 〈さそり座〉は「黄道十二星座」のひとつなので、10月24日〜11月21日生まれの人の誕生星座となっています。だからほとんどの人が〈さそり座〉の名前を知っているでしょう。でも〈さそり座〉をちゃんと見た人はそんなにいないかもしれません。それは、日本では〈さそり座〉が南の空の低いところにあるので、南側に建物や山があると隠れてしまい、また、夜中には沈んでしまうからでしょう初夏の21時ごろ、南の空のちょっと低いところを見ると、すぐに赤くて明るい星が見つかります。これがサソリの心臓の星アンタレスです。

※右の星図はクリックすると拡大します。星座入門より「さそり座」

 そこから左下の方に、2等星や3等星が曲がりながら並んでいて、大きな「S」字のカーブを描いています。これらがサソリの胴体とシッポで、シッポの先にはちゃんと毒針の形にもうひとつ明るい星がついています。いつどのあたりに見えるのかさえわかれば、〈さそり座〉はわりと見つけやすい星座です。アンタレスの名前の由来は「アンチ・アーレス」で「火星に対抗するもの」という意味です。これは、〈さそり座〉が黄道の上にあるので、ときどき火星がこのあたりを通過することがあり、そのとき、赤い火星と、赤いサソリの心臓が競うように並ぶことから、こういう名前が付けられたそうです。

 また、〈さそり座〉のまわりには、天の川の濃いところなので、たくさんの星団が見つかります。アンタレスのすぐ横にある球状星団M4や、M6とM7が並んでいるところなどは、双眼鏡でも観察できるでしょう。

いて座(南斗六星、M22、M8[干潟星雲]、M20[三裂星雲])

いて座

 〈いて座〉は「黄道十二星座」のひとつなので、11月22日〜12月21日生まれの人の誕生星座となっています。だからほとんどの人が〈いて座〉の名前を知っているでしょう。

※右の星図はクリックすると拡大します。星座入門より「いて座」

 「いて(射手)」とは弓矢を射る人のことです。いて座〉の目印は6つの星がヒシャクの形に並んだ「南斗六星」です。7、8月の23時ごろか、8月から9月の20時ごろ、南の空の低いところを見ると、6つの星が「北斗七星」に似た形に並んでいるのが見つかります。「いて座」は、地球から見て、銀河系の中心の方向にあります。そのため、このあたりの天の川がもっとも濃く明るく見え、星雲や星団も多く見つかります。とくに散光星雲M8とM20が並んでいるのは絶景といえます。

ヘルクレス座(H形の星の並び、M13)

ヘルクレス座

 夏の夜空を見上げると、天頂(頭の真上)をはさんで、左(東側)に〈こと座〉のベガ、右(西側)に〈うしかい座〉のアルクトゥールスが輝いています。

※右の星図はクリックすると拡大します。星座入門より「ヘルクレス座」

 どちらも1等星なので、すぐに見つかるでしょう。この2つの星の真ん中あたりに、6つの星が「H」の形に並んでいるのが見つかります。ここがヘルクレスの腰の部分で、さか立ちをしたかっこうになっています。星座絵で、ヘルクレスが左手に持っているのは、2番目の冒険で手に入れたヒドラの頭です。

星座を楽しみながら知ることができる「テレビでかんたんに『プラネタリウム』が楽しめる星座入門」

テレビでかんたんに「プラネタリウム」が楽しめる星座入門

 「テレビでかんたんに『プラネタリウム』が楽しめる星座入門」は日本で見られる星座のほか、日本で見られない南天の星座を含む、全天の88星座すべてを解説。それぞれに星座絵、見つけ方、星座に含まれる星雲や星団の写真、起源や神話との関連などを解説します。また、「星座早見盤」や「天文ソフト」さらに手軽な「携帯サイト」を使って、見たい星座を夜空からさがす方法も紹介。文字を大きくし、難しい漢字に読みがなをふっていますので、シニア世代や小中学生でも読むことができ、星座を楽しみながら知ることができます。

 付録DVDでは、日本国内で見られる星座について解説した『春の星座』『夏の星座』『秋の星座』『冬の星座』の4つの番組(合計75分)が入っています。なお、ディスクはDVD-ROMハイブリッド仕様になっており、パソコンユーザ向けに2004年10月に発売になった最新の「ステラナビゲータ Ver.7体験版」(Winsdows用:容量約100MB)も収録しました。