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2006年9月8日 部分月食

9月8日の夜明け前、満月の一部が地球の影にかくされる部分月食が見られます。欠けて見える部分は最大18.9%で、月食の全経過(月が地球の本影にかくされる時間)も1時間28.6分と、やや小規模なものです。とはいえ、1年ぶりの月食で、全国的に好条件で楽しめますので、見逃さずに観望しておきたいところです。

食の最大(3時51分)の月

見え方

欠け具合

月食のようす。本影食開始から終了までの月の欠け具合を示している 本影食が始まる午前3時5分には、すでに月面の右上部が薄暗くなっているのがわかるでしょう。欠ける部分は、月が地球の本影の中を移動するのに対応して時間と共に右下へと移っていきます。双眼鏡で見ればいくらか赤みを帯びているのがわかるかもしれません。

地平座標での見え方

東京での見え方を3時00分から10分おきに示した図 図は東京から見た月の位置を示しています。なお、西に行くほど月が高くなり好条件です。

各現象のタイムテーブル、月の高度

現象の時刻と各地の月の高度は以下のとおりです。

現象時刻 札幌仙台東京京都福岡那覇
半影食開始1:42.4 30.4゚ 34.4゚ 36.9゚39.5゚43.2゚50.8゚
本影食開始3:05.0 19.8゚ 22.6゚ 24.7゚27.8゚32.3゚38.6゚
月食の最大3:51.3 12.7゚ 14.9゚ 16.5゚19.8゚24.4゚30.1゚
本影食終了4:37.6 5.2゚ 6.7゚ 8.2゚11.5゚16.2゚20.9゚
半影食終了6:00.3 月没月没月没月没0.7゚3.9゚
現象 札幌仙台東京京都福岡那覇
薄明開始 3:273:413:504:084:324:54
日出 5:055:105:175:335:566:11

観察と撮影

肉眼や双眼鏡で観察する場合も、写真撮影する場合も、必ず西の空が開けたところで見るようにしましょう。特に西日本では、月食が終わる頃には月がほとんど沈みかけているので注意してください。

月食の様子を観察する方法は、基本的には普段の月面観察と同じですが、特におすすめなのが双眼鏡です。

双眼鏡で欠けた部分を見ると、いつもの月の満ち欠けとは様子が違うことがよくわかるはずです。赤みがかった淡い輝きや、通常なら影ができて凹凸がはっきりする欠け際のクレーターが見えないことなどに注目です。

午前3時、月の右下に天王星がある また、月のすぐ近くには、6日に衝を迎えたばかりの天王星がいます。5.6等ととても暗い惑星ですが、この機会に双眼鏡で探してみるのもいいかもしれません。なお、図は午前3時の位置を示したものです。天王星と月が一番接近するのは午前1時ごろで、時間と共に遠ざかっていきます。


デジカメやビデオでの撮影にも挑戦してみましょう。

もっとも簡単な撮影方法は、三脚にデジカメを固定してシャッターを切るだけです。満月の場合と変わらない露出設定で写すことができますが、デジカメの利点を生かし、確かめながらいろいろな露出で撮影しておくのが安全といえるでしょう。写真撮影のいいところは、肉眼ではほとんどわからない半影の部分も写し出せることです。本影食が始まる1時間以上前から半影食は起こっているので、より長く楽しめます。

連続撮影して地球の影の中を月が移動する様子を確かめたり、月の位置が低いのを逆手にとって地上の風景を取り入れるなど、いろいろと工夫してみてください。

ステラナビゲータでちょっと変わった楽しみ方

このページの中にある図は、すべてステラナビゲータ Ver.7を使って作成しました。

ステラナビゲータを使えば月食の様子がリアルにシミュレーションできるのはもちろん、月食の時の様子を月から見ることも可能です。月が地球の影に隠されているということは、そう、月から見ると地球による「日食」が起こっているのです。詳しくはステラ情報局「ステラで再現 月食の日、月のウサギは日食を見る」をご覧ください。

さらに、10月上旬発売予定のステラナビゲータ Ver.8ではさらにおもしろいシミュレーションができます。詳しくはステラナビゲータ Ver.8 予告ページで紹介する予定です。発売は部分月食の後ですが、こちらにもご期待ください。