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アポロ11号月着陸50周年(2019年7月21日)

「月に行くこと」を目的としたアポロ計画によって、1969年人類は地球以外の天体「月」に初めて降り立った。

あれから半世紀たった今、努力と情熱と技術に裏打ちされたその壮大なプロジェクトを振り返ってみよう。

(画像提供:NASA)

アポロ計画とは

「1960年代に月へ」無謀な挑戦の裏側

1957年10月、ソビエト連邦は史上初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げた。当時のアメリカはソ連との冷戦の真っ只中。ソ連の「人工衛星の打ち上げ成功」のニュースは「ミサイルの技術」と深いつながりを持つ「宇宙開発の技術」がアメリカより進んでいることを意味していた。スプートニク1号から遅れること3か月、アメリカは人工衛星「エクスプローラー1号」を打ち上げる。宇宙開発の強化のため、翌年NASAが正式に発足、「有人宇宙飛行計画(マーキュリー計画)」が立ち上がる。この計画はアメリカの宇宙開発にとって大きな基礎となった。

ガガーリン

史上初の有人宇宙飛行に向けて、バスで射点に向かうガガーリン宇宙飛行士。

しかし、アメリカと同様にソ連も着実に宇宙への道程を固めていく。1961年4月、ガガーリン宇宙飛行士が世界で初めての有人宇宙飛行を成功させる。ソ連への巻き返しを図るアメリカ・ケネディ大統領は1962年9月12日、テキサス州ヒューストンのライス大学で有名な演説を行う。それは、「アメリカ人を1960年代のうちに月に送る」というものだった。

ケネディ

アメリカの有人月飛行についての演説を行うケネディ大統領。

「偉大な一歩」に至るまで

アメリカ国民の士気はケネディ大統領の公約により大きく高まった。この大きすぎるとも思える宣言は、アメリカがこれまで培ってきた有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」、長距離弾道ミサイル「ジュピターロケット」、月探査衛星「ルナ・オービター」などの宇宙開発技術に裏打ちされたものだった。しかし1967年、地球軌道への打ち上げを目指す試験の最中に3人の宇宙飛行士が命を落とし、その悲劇の宇宙船はアポロ1号と名付けられた。

打ち上げの予定から大幅に遅れた1967年11月、「アポロ計画第1号機」となるアポロ4号が打ち上がった。その翌年1968年10月、アポロ7号によるアポロ計画初となる有人宇宙飛行が実現する。アポロ9号、アポロ10号による地球・月軌道上での最終試験を経て、満を持してアポロ11号は月に着陸する。

公約の最後の年となる1969年7月20日。ついに「アポロ11号」は月面への第一歩を記した。

オルドリン

月探査船からはしごをつたって降りるオルドリン宇宙飛行士。

偉大な一歩

「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」(ニール・アームストロング)。

「アポロ計画」の終わり

人類史上初の月面探査からわずか4か月。アポロ12号は次なる一歩を踏み出した。アポロ計画は12号を契機に「人類を月に送ること」から「月面の科学的探査」の意味を色濃くしていった。12号以降では月面のサンプルの採取や地震計・磁力計などの設置、15号では月面車を投入した科学探査、17号ではついに地質学者が月に送り込まれた。20号まで予定されていたアポロ計画であったが、莫大な予算や人的資源の投入が難しくなり、1972年12月20日にアポロ17号が地球に帰還したのを最後に、アポロ計画の全てが終了した。

ジェネシスロック

アポロ15号の月面探査で採取された岩石から発見された「ジェネシスロック」。

月面車

アポロ17号で使われた月面実験装置。月面車を運転しているのはサーナン船長。

あの感動を「ステラナビゲータ」で追体験

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」を使って、アポロ宇宙船が降り立った時の月を再現してみよう。

また、アポロ計画で月に降り立った宇宙飛行士が見た星空も再現できる。「ステラナビゲータ11」を使って月に着陸し、月から見える星空を体験してみよう。

「地球の出」(アポロ8号)

「史上最も影響力のあった環境写真」としても知られる、アポロ8号による地球の出をステラナビゲータで再現。

アポロ8号から撮影された地球の出

アポロ8号から撮影された地球の出

「アポロ11号着陸時の着陸点からの空」

アポロ11号が着陸した時の月から見る星空。アームストロング宇宙飛行士たちはどのような思いでこの星空を見上げたのだろうか。

「アポロ11号着陸時の着陸点からの空」のシミュレーション

星条旗を立てたオルドリン宇宙飛行士

星条旗を立てたオルドリン宇宙飛行士

詳しくは星ナビで

星ナビ2019年7月号では、別冊「アポロ計画全記録」(48ページフルカラー)でミッションを詳しく解説している。米ソの宇宙競争からアポロ計画の全てについてまとめた保存版は後世に残したい大ボリュームの一冊。画像も読み応えも十分で、アポロに衝撃を受けた世代も、宇宙を目指す若者も必見だ。

また、星ナビ2019年8月号は「アポロ計画×月面マップ B2両面ポスター」が付録の特別号。本誌でもアポロ11号の「月着陸50周年」特集を行う。アポロ50周年で盛り上がるこの夏のイベントに向けて是非とも手に入れたい一冊。いつもの連載陣もアポロの月着陸をテーマに執筆している。

「アポロ計画」が50年前にたどった軌跡を、星ナビ7月号別冊と星ナビ8月号で振り返ってほしい。