IRAS・荒貴・オルコック彗星(1983年) C/1983 H1

1983年5月新潟県の荒貴源一さんが発見した彗星で、地球からわずか0.0313AUという至近距離を通過していきました。


(伴良彦氏撮影のIRAS・荒貴・オルコック彗星の写真)

タイトル:
「アイラス・アラキ・オルコック彗星」
撮影者:
伴 良彦
撮影日時:
1983年5月9日 (上)21時16分,露出 40秒、(下)22時18分、露出 5分
撮影地:
長野県南安曇郡梓川村丸田
撮影機材等:
(共通機材)ペンタックス SV、トライ-X
(上の機材)SMCタクマー 55mm F1.8開放、固定撮影
(下の機材)SMCタクマー 200mm F4開放、ミザール 10cm F6 + 10mmアイピース、タカハシ D型屈折赤道儀による半自動ガイドで彗星自身をガイド
(共通現像処理)パンドール(24度、7.5分)
撮影者コメント:

肉眼で見える彗星というのは、りっぱな尾を引いていると思っていた私に衝撃を与えたのが、この彗星です。ただ、ただボォーとしているだけで、本当に異様な彗星でした。そして、その動きの素早いことっていったら、ありゃぁしません。恒星に合わせててガイド撮影をしようものなら、彗星が棒状にスライドして写ってしまいました。そこで、彗星が明るいことを利用して、彗星自体をガイドして初めて撮影したのがこれです。この彗星、どうやら、小さな彗星が地球にかなり接近したためにこんなふうに見えたようですネ。


(松本直弥氏撮影のIRAS・荒貴・オルコック彗星の写真)

撮影者:
松本 直弥
撮影日時:
1983年5月11日 1時18分30秒、露出 10分
撮影地:
長崎県佐世保市星和台町
撮影機材等:
ニコン FE、Nikkor 180mm F2.8開放、フジクローム RH400、31cm反射赤道儀で彗星の動きに合わせて半電動ガイド
撮影者コメント:

この彗星の出現を知ったのは1983年5月8日、朝日新聞の記事(星の広場より早かった)。驚いたことには、その夜には4等級の彗星を双眼鏡で見ることができた。アイラスは赤外線天文衛星で、コメットハンターの天敵と言われた。地球に0.031AU(465万km?)まで超接近し、最接近した5月11〜12日には1時間に2°も移動したため、標準レンズの5分露出でも彗星が筋状に写った。

この写真は、31cm反射を覗きながら微動のスイッチを「手動」で押して彗星を追尾したもの。今では彗星の移動に合わせてガイドを行う「メトカーフ法」はすっかり一般的になったが、この彗星は日本のアマチュアの多くがメトカーフ法を導入するきっかけとなった。


(高山和久氏撮影のIRAS・荒貴・オルコック彗星の写真)

タイトル:
「高速移動するIRAS・荒貴・オルコック彗星」
撮影者:
高山 和久
撮影日時:
1983年5月10日 (右)0時13分40秒、(左)1時13分40秒、露出 各20秒
撮影地:
栃木県矢板市
撮影機材等:
アサヒペンタックス SL、スーパータクマー 55mm F1.8開放、ネオパン400
パンドール(20度、12分)
撮影者コメント:

満月よりも大きなボーとした光球に見えたこの彗星は、ほうき星とは思えない姿をしていましたので、今でもはっきり頭に焼き付いています。地球に大接近したので高速で移動するのが双眼鏡でもわかるようでした。いつまで見ていても飽きなくて、宇宙空間というものを実感させてくれた彗星でした。


佳作

(荒貴源一氏撮影のIRAS・荒貴・オルコック彗星の写真)

撮影者:
荒貴 源一(発見者)
撮影日時:
1983年5月4日 23時46分、露出 10分
撮影地:
新潟県南魚沼郡湯沢町神立
撮影機材等:
アサヒペンタックス SPボディ、SMCタクマー 135mm F2.5開放、フジカラー FII、タカハシ 65mm屈赤P型手動追尾
ネガからのスキャナ読み込み
撮影者コメント:

発見からほぼ24時間後のIAA彗星です。発見当日は確認等で忙しく、撮影の余裕はありませんでした。1日経ち、持ち合わせの機材で撮影しました。緑色が濃く出ていて、彗星だなという感じがします。発見したときは「なんだ?これ」という言葉が出ました。この写真より早く撮影されたこの彗星は見ていません。地元の地方紙に掲載された写真は、きたなくてイマイチでした。

本コンテストを企画したとき、まさか、彗星を発見したご本人から応募がくるとは、正直いって予想もしていませんでした。考えてみれば、彗星を発見した人が、その彗星に対して一番強い思い入れを持っているはずですよね。(編集部)


(田代貞氏撮影のIRAS・荒貴・オルコック彗星の写真)

撮影者:
田代 貞
撮影日時:
1983年5月9日 22時25分、露出 26分
撮影地:
静岡県磐田郡豊岡村
撮影機材等:
アサヒペンタックス MX、日本特殊光学 12.5cm F3.8ライトシュミット、TP2415 水素増感、21cmニュートン主鏡で彗星核を手動追尾、ミカゲ 210赤道儀
D-19(20度、5分)
撮影者コメント:

地球に大接近したこの彗星の一番の印象は彗星核の移動を肉眼で楽しめたことです。星達の間を移動していく様子はまるで人工衛星のスローモーションを見ているようでした。この写真は核を必死で手動ガイド(ハンドル微動)したものです。たぶんこのような撮影は私にとって最初で最後でしょう、天翔る彗星をまさに体で感じることのできた貴重な彗星でありました。


(百海正明氏撮影のIRAS・荒貴・オルコック彗星の写真)

タイトル:
「こぐま座とIRAS・荒貴・オルコック彗星」
撮影者:
百海 正明
撮影日時:
1983年5月9日 23時16分、露出 12分
撮影地:
群馬県勢多郡北橘村
撮影機材等:
ニコン FE2 50mm F1.4→2.8、フジクローム 400D、タカハシ H型赤道儀にて手動ガイド撮影
現像はDPE店に依頼
撮影者コメント:

大学2年生の時、天文部の新入生を連れて星を見に行きました。北の方向を見るように話すと、北極星より先にIAO彗星を見つけ、「あれ、何ですか」と聞かれたことを思い出します。この彗星はなんだかやたら大きいだけで青白い火の玉みたいでした。実はこのとき、借り物の高橋H型で手動ガイドをしていたのですが、いたずら好きの先輩が脇の下をくすぐってくるので大変でした。こんな経験、もう二度とないと思います。